叩き上げ | ナベちゃんの徒然草

ナベちゃんの徒然草

還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

今日は、第74代内閣総理大臣だった・・・というより、若い方にはタレントDAIGOの祖父、と申し上げた方が通りがいいかもしれない、


 竹 下 登 


の命日にあたります。


人一倍の気配り・目配り・金配りで敵が少なく、また 〝おしん〟 と言われる程忍耐強く田中角栄氏に仕え、やがて機を見るや 『創政会』、『経世会』 を立ち上げて田中派議員を取り込み、


「10年経ったら竹下さん」音譜


と自ら自嘲気味に歌っていた通り、見事最高権力者の座を掴みました。

昭和時代最後の総理大臣であり、また消費税の導入を成し遂げた首相として憲政史上にその名を残す政治家・・・
そんな竹下氏に関する驚くべき逸話を、ひとつご紹介致します。


           ◆     ◆     ◆     ◆


私が内閣安全保障室長時代に、時の総理だった竹下登氏が、ある省の局長クラスの人物について、彼の経歴をスラスラと言うのを聞いて


「よくそこまでご存じですね。 かつて秘書官か何かでお使いになったのですか?」 と尋ねたことがある。


「いや、そうではなくて、私は自民党幹事長の時に、中央官庁の局長以上の経歴を掌握しておこうと思い立ってね、人事記録を取り寄せて暗記したんだよ。」


            ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-竹下登


「やってみせようか? 大蔵でも通産でも、誰か局長か次官の名前、言ってごらん。」


酒席の座興で始まったことだが、竹下氏の驚くべき記憶力が、満座の中で披露された。

本当に各省主要局長の経歴を諳んじているのである。 

一同驚嘆していると、


「与野党の国会議員も全部覚えているよ。

 たとえば公明党の誰それ議員ね・・・。」


と言って、出身県・学歴・年齢・所有な略歴・当選回数・得票数をスラスラと暗唱してみせる。

「では今度は、人口の多い順に世界の各国を言ってみようか。」


と言って、立て板に水を流すようにやってみせ、


「今度は少ない順に行こう。」

と、モナコとか
サン・マリノから逆順で諳んじるのだ。


その博覧強記ぶり、信じられない程の記憶力は接する人を驚倒させ、只者ではないと兜を脱がさせ、


(この人にはいい加減な話は出来ない、間違ったことを言うと後で大変なことになる)


と、部下はみんな真剣に勉強し、調査をして正確な報告をするようになる。


                  (※佐々淳行・著 『平時の指揮官 有事の指揮官』より)


          ◆     ◆     ◆     ◆


竹下氏の親分だった田中角栄氏も、どんなに飲んで帰っても毎日午前3時には起きて各省庁の幹部の名や経歴を覚え、地図を広げて日本全国津々浦々の選挙区や選出議員たちの情報を頭に入れていたといいます。

叩き上げで最高権力者になる人物の努力は、並ではありません。

少し前、国会で野党から漢字テストもどきの質問を浴びせられた世襲総理がいましたが、間違っても田中・竹下両氏にそんな幼稚な質問は出来なかったでしょうネ。うー


あらためて努力と忍耐の人・竹下登氏のご冥福をお祈り致します。



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