マリア | ナベちゃんの徒然草

ナベちゃんの徒然草

還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

文部省推奨映画ということで、小学生の時に母親に連れられ映画館で初めて観て以来、おそらく今まで最も鑑賞回数の多い作品・・・『サウンド・オブ・ミュージック』。


今でも、時々CSの映画専門チャンネルで放映していると、自分でDVDを持っているのに何故かついつい最後まで観てしまいます。


素晴らしい音楽と歌声、それにシンプルながらも心温まるストーリーは、飽きることがありません。


この映画の主役・・・ジュリー・アンドリュース演じるマリアが実在の人物であることは、皆さんもご存じだと思いますが、今日・3月28日は、その

 マリア・アウグスタ・クチェラ・フォン・トラップ さん

  (Maria Augusta Kutschera von Trapp


の命日にあたります。


1905年、オーストリアに生まれたマリアさんは、生後すぐに母親を、そして9歳の時に父親を亡くすという不幸に見舞われます。


全寮制の学校を経て修道院に志願して入院しましたが、生活に馴染めず体調を崩したため、院長の計らいで家庭教師を探していたオーストリア海軍将校にして第一次大戦のヒーロー、ゲオルク・フォン・トラップ男爵宅に住み込みで働くことになります。


7人の子供達と(映画の如く)歌や遊びを通じて仲良くなったマリアさんは、やがてトラップ氏とも恋仲になり、1927年・・・トラップ氏47歳・マリアさん22歳の時に結婚。


            ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-Maria and Georg von Trapp


1933年、金融恐慌の煽りを受けてトラップ氏は破産。 しかしマリアさんの提案で邸宅を空き部屋を賃貸したり、一家で各地のイベントに出向いては合掌を披露することで収入を得て急場を凌ぎます。


合唱が評判となり、ザルツブルグ音楽祭の大衆歌手部門で優勝した一家は、ヨーロッパ各地を演奏旅行・・・しかし1938年に祖国オーストリアがナチス・ドイツに併合されると、アメリカに亡命。


映画では平服でアルプス越え(!)をしましたが、実際はナチ党員だったにもかかわらずトラップ家に協力的だった執事が亡命を勧め、演奏旅行の名目で合法的に出国した(ただしその直後に国境は封鎖され、きわどいタイミングだった)とのこと。


しかしアメリカに上陸した時は、ポケットに3ドルしか持っていなかったとか。


第2次大戦中アメリカ国内を演奏旅行で巡り、その間息子2人は徴兵され外地に出征。


そして終戦後の1947年、トラップ氏が肺ガンにより67歳で死去。


翌1948年にトラップ一家はアメリカの市民権を得て、以前買い取ったバーモント州ストウの農場でホテル 「トラップ・ファミリー・ロッジ」 の経営を開始。


渡米後のトラップ一家は、映画で垣間見せた裕福な生活とは打って変わって、随分と苦労を重ねたようです。


そして1949年にマリアが自叙伝 The Story of the Trapp Family Singers (トラップ・ファミリー合唱団物語)』 を出版すると、これが大評判となり、後の 『サウンド・オブ・ミュージック』 (1965年)の大ヒットへと繋がっていきます。


            ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-The Story of the Trapp Family Singers


1967年には来日も果たしたマリアさんが闘病生活の末82歳で天に召されたのは、今から25年前の今日・1987年3月28日。


前妻との間に7人の子供がいたトラップ氏は、マリアとの間にも3人の子に恵まれたそうで、今やトラップ一族は60人を超える大家族なのだそうです。


血は争えないと申しましょうか、トラップ氏の孫娘さんには今でも夫と共にコンサートで今でも全米中を回っている方もいらっしゃるとか。


そして9・11テロの翌年。


第二次大戦中アメリカ国民の心を歌で和ませてくれたトラップファミリー合唱団の父・トラップ氏の曾孫4人が、グランド・ゼロ近くの教会で復旧作業に勤しむ消防団員達を、再び合唱で勇気づけたのです。


まさに“因果は回る糸車”の如し・・・トラップ一家は4代にわたって、アメリカ国民の心を歌で癒したのです。


ちなみに、映画で描かれるトラップ氏は笛を鳴らして子供達を管理する厳格なイメージでしたが、実際は温和なやさしい父親だったとか。


マリアさんは、ご主人があまりにかけ離れた人物として描かれていることに強く抗議し、脚本の書き換えを要求したものの、映画会社からにべもなく拒否されたとか。


しかしながらその映画には、マリアさんご本人もエキストラ(通行人)として、一瞬だけですが出演しているそうです。


今度映画をご覧になる方、ちょっと探してみてください。笑2



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