戦 友 | ナベちゃんの徒然草

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還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

年末に『硫黄島からの手紙』を観て感じ入った私は、この戦いをアメリカ側の視点で描いたという『父親たちの星条旗』も是非観たいと思い、正月早々にDVDを購入しました。


買ったまでは良かったんですが、なかなか観るチャンスに恵まれず、昨夜になってやっと観る事ができました。


          父親たちの星条旗


てっきりこの映画は硫黄島戦の同時進行版かと思い込んでいたのですが、蓋を開けてみればこちらはむしろ「その後」のドラマだったんですね。


でも、これはこれで何ともいえぬ物悲しい「国家権力に振り回される兵士達の人間ドラマ」でした。


偶然にも星条旗を硫黄島に(2度目に)立てたメンバーになったばかりに、その内の生き残りとして、国が推し進める国債販売に一役買う羽目に陥る3人の兵士達。その任務に反発する者、それを利用して目立とうとする女性、何とか売上を上げようとする政府関係者等々の人間模様。



このような史実があった事を私は知らず、観ていて暗澹たる気持ちになってしまいまいた。


同時にこれを観ながら私は、“戦友”という、濃密な人間関係について考えてしまうのです。



かつて太平洋戦争に旧日本軍兵士として従軍された方々、特に外地から九死に一生を得て生還された皆さんがご高齢になられ、そういった方のご葬儀をお手伝いをさせていただく機会がしばしばあるのですが、そのお式に嘗ての戦友の皆様が参列される時がございます。


『第○師団○○会』等と縫い込んだ旗を祭壇横に飾られ、80歳を超えていらっしゃるにも拘わらず背筋を伸ばし矍鑠として椅子に腰掛けられ、静かに遺影を見つめるご老人達。


出棺間際にお柩に花を手向けながら、「お~い、○○。俺達を置いて先に逝きやがって・・・バカヤロウ! もうすぐ俺達も行くからなぁ、キサマ、あの世で酒でも呑みながら待ってろよぉぉっ!」と大声で最後のお別れをされる戦友のお姿を拝見すると、そこには奥様やお子様らご遺族でさえ入り込めぬような、強い絆を感じざるを得ません。


私のような戦後世代の人間には絶対にわかり得ない、子や孫には話せないような凄惨な戦場を共に生き抜いてきた者同士のみが持てる「連帯感」を、私は一瞬羨ましくさえ思えてしまうのです。



『父親たちの星条旗』に出てくる、インディアンの血を引く兵士が戦友を裏切るような、というか申し訳ないという気持ちに苛まれ、やがて酒浸りになって行く姿を見ながら、私は「オレにはそこまで連帯感や信頼感を持てる“戦友”と呼べる友人は何人いるだろう?」と思わず自問してしまいました。