こんにちは、アリーシャです。
23日に公開となった映画「ラストマイル」を一人で観てきました。
現代社会の問題をシビアに描きながら、一筋縄にはいかないドラマの作りとスピード感、ハラハラドキドキ具合はドラマ「MIU404」の流れをスケールアップした感じでした。
とても密度が高い脚本でした。
映画のラストで米津玄師の主題歌「がらくた」が流れると様々な思いが溢れて涙がグワッとこぼれました。
脚本家の野木亜紀子さんは、私と同世代ののアラフィフ女性。私達世代の星だと思っています。
氷河期世代で社会人になり、かつては派遣社員やアルバイターの一人だった彼女が自身の経験した社会を、仕事を、個人としての生きづらさをすべて糧にして脚本に消化していると感じました。
この映画、同世代のいまだに派遣社員として日々働く私はとても心を揺さぶられました。
私がコロナ禍でダブルワークを始めたのは、実は夫の休職がきっかけでした。
2020年、コロナ禍で夫が心を病み勤務先を休職し、しばらく家にこもりきりになりました。
その前から夫の様子はおかしくて、状況としては私の心配していた通りになったのです。
そのうち夫は仕事に行けなくなり、休みがちに。そして夫は休職を決意し、医者の診断書を提出したり、産業医のカウンセリングを受けたりしました。
休職することを告げられた時、私は泣きました。「私に十分な稼ぎがなくて今すぐ辞めていいよ、と言ってあげられなくてごめん。辛い思いをさせてまで働かせてごめん」と。
そして、休職。お給料が振り込まれなくなり、どんどん減っていく貯金。私立の中高一貫校の学費も払わなくてはいけません。
せっかく入った私学から娘を転校させることはできるだけ避けたいと思いました。傷病手当の手続きも夫は最初は気力がなくなかなかできなかったようでした。手続きのことを一度だけ口にしたら、会社のことを言われると具合悪くなる、とピシャッと夫に言われ、2度と病気や手続き関係のことなど何も言いませんでした。
家事も食事の用意もできなくなった夫とひたすらコロナ禍で家にいることは辛かったです。私はパートと派遣の仕事をかけ持ちして家事もしてクタクタでした。1番辛かったのは夫のことを誰にも相談できなかったことでした。
しばらくして実母と古くからの親友には状況を言いました。気持ちが楽になりました。
でも、先の見えない不安に押し潰されそうでした。夫と娘の前では泣けなかったのでよく一人の時に隠れて泣いていました。夫が働いてくれて、毎月お給料をもらえるのが当たり前でないこと、そんな生活はいつまで続くとは限らないことを痛感しました。
その一方、夫は自転車の趣味を始めてから、太陽にあたり身体を動かし、少しずつ元気になっていきました。
そして休職してから半年後から少しずつ仕事に復帰しました。心を病んだ部署からは異動させてもらえたのが大きかったようです。
夫が具合悪かったとき、私は彼がさらに壊れてしまう、居なくなってしまうことを1番恐れました。生きてそばに居てくれることを祈りました。
そんな経験を持つ私に今回の映画と主題歌は心から沁みました。
「たとえばあなたがずっと壊れていても二度ともどりはしなくとも構わないから僕のそばで生きていてよ」
この歌詞は当時の私の気持ちそのものでしたから。
すべての労働者とその周囲の人に捧げられた素晴らしい映画だと思いました。
私たちが生きる便利な現代社会は顔の見えない誰かの労働によって支えられているのだとつくづく感じます。
アマゾンと生協のヘビーユーザーである私は、以前からまとめて注文とか急ぎの配達をできるだけ利用しないとか気を付けていましたが、ますます荷物は届いて当たり前だと思わないようにしよう、宅配便の配達はできるだけまとめよう、時間指定のものは必ず在宅し、そうでないものは置き配にしようと思いました。
経済優先の社会の中で、私たちがすり潰されずに生きていくにはどうしたら良いのか?
その答えはまだ見つかりませんが、労働者でも学生でも、個人の心身を壊してしまわないように気を付けるというのが一番大事なことだと感じています。人間は生もので、一度壊してしまうと治すのはそう簡単ではありません。
個人が持続可能な生活スタイルを貫くこと。それは、本当に難しいけれど、死にそうになるくらいだったら逃げるしかないと思います。がんばらない勇気みたいなもの必要だと思います。
その一方で、大黒柱の収入を失った経験をしたことのある私は、少しでも収入を増やそうと今はトリプルジョブ(仕事三つかけもち)で汲汲とする日々を送っているわけです。
皆様もどうか 心身ともにStay helalthy で!