あれは数年前の年末でした。



朝まで飲んで、帰りの山手線で熟睡していた僕。



始発に乗ったとして、目が覚めたのがあの時間ということは、おそらく何周かしてたのではないかと思われます。




僕は膝にバッグを乗せてそこにさらに頭を前傾に乗せるような姿勢で寝ていました。

ふと気づくと、股間を触られてるような感覚があります。


誰かの手がばくの社会の窓辺りに触れています。




ん?




空いてる車内



開いてる社会の窓



酔っ払っている僕



隣の男は僕と同じように膝にバッグを置き、二人のバッグが壁のようになり、正面の乗客から僕の股間への視界を遮っている





僕は一瞬考えて以下の結論に至りました



もしかしてこの人、周りにバレないように、俺の社会の窓を閉じようとしてくれていた?


俺が恥をかかないために?




僕は間違えて


「ありがとうございます。」


と言ってしまいました。



そこから目を閉じると同時に思います。



「あれ?そんなわけなくない?」



しかし、僕のミスを皮切りに横の男の怒涛の攻撃が始まってしまいました。


とんでもないボールタッチ数です。



ははーん、さては、



「痴漢だ!!!!!」


いや遅いって。


いやでも自分が、しかも男性にされるわけないと思ってるから本当にそんな発想にならないのです。



隣の男は僕と同じように膝にバッグを置き、二人のバッグが正面の乗客から僕の股間への視界を遮っている



なんて狡猾で巧妙なんだ。


目を閉じながらどうすればいいか考えますが、何も出てきません。

お酒の抜けきってない寝起きほど頭が回らないことはないです。


次の駅までの時間が永遠のようです。


パニックで声が出ません。


しかし、出たとて、何といえば良いのか


だって、俺、初手で

「ありがとうございます」

って言ってんだもん。


俺が助長してるじゃん!!


これ、裁判になったらどうなるの?

同意かどうかが争点になる!?


くらいまで考えたところで


「日暮里〜日暮里〜」



慌てておりました。


西日暮里、日暮里間の駅間の短さナイス!!!!




痴漢された時ってあんなに怖くてパニックになるんだ、と知った朝でした。

痴漢男は同い年くらいの痩せ型のメガネの、あまりにもそれっぽくない見た目なのも僕を混乱させましたが


次同じ目にあったら通報できるはず。

皆様もお気をつけて。




僕から以上。あったかくして寝ろよー