先日のライブ終わりにチュランペットの2人と一緒に帰りました。


原宿で電車に乗ったのですが、僕らが入ったドアが閉まる寸前、20代前半くらいの女性二人組が駆け込み乗車してきました。
厳密にいうと、しようとしたんです。


しかし、閉まるドアに体をねじ込むことはできず、代わりに大きく腕を振って走っていたため、手に持っていたなにやらオシャレな店の紙袋だけが大きな弧を描いて電車の中に滑り込みました。


紙袋は車内、しかしその手提げ部分は女性が持っていて
手提げのヒモの部分が閉まるドアに挟まっています。



これは大変だと、近くに乗り合わせた男性と一緒に少しでもドアをこじ開けようとしたのですが、開きません。


こういう時は駅員さんがドアを開けてくれるものだと思っていたのですが、気づかなかったのか、電車はゆっくりと動き出してしまいました。



僕はヒモの分だけ空いてる1cmくらいのドアの隙間から
「新宿で待ってます!」と外に向かって大きな声で言いました。

そのまま女性の姿が見えなくなりました。


チュランペットのとしぱんちが「君の名は」のワンシーンみたいだ!とテンションが上がっています。

「君の名は」で、似たような感じで、ヒロインの女の子の髪飾りを男の方が受け取る運命的な出会いのシーンがあったんですが、それが現実で起こったみたいなことですね。




1分もしないうちに「間も無く代々木ー」とアナウンスされました。


僕たちは話し合いました。


あ、やばい。

原宿の次は新宿じゃなかった。。。

これ、女の子たち代々木で降りる可能性あるし代々木で待ってた方が確かなんじゃねぇのか?

そうだよ。このドアから乗車するんだから、このドアの正面で待ってたら絶対気づくよ。

よし、代々木で降りるか



と、決めた矢先、僕たちが原宿で乗ったドアの逆側のドアが開きました。



あれ?そっち?
こっちで降りて待ってたら、女の子たち新宿で合流と思ってるし、俺らに気づかない可能性あるよね。
新宿に先に女の子がついちゃったら合流できない可能性あるな。


なんて迷ってたら、先ほどテンションが上がってたとしぱんちが電車を飛び降りました。


俺代々木で待ってるわ!2人は新宿行ってて!!
俺合流できたら2人が新宿にいるって伝えるから!!


と「ここは俺が食い止める!おまえらは先に行け!」くらいの熱いテンションで言い残してドアが閉まりました。


冷静に考えたら、3人で代々木で降りて、次の電車に乗れば間違いなく合流できるのですが、短時間でその答えに行き着くことができず、
「君の名は」の主人公の瀧くんのように、すごい精悍な顔でホームに立ってるとしちゃんを残し、僕ととしぱんちの相方である藤並は新宿へ向かいました。


その電車の中でなみちゃんこと藤並が言いました。

てかその袋何入ってるの?


確かに。
オシャレな店ぽいロゴは書いてあるけど、小さいし小物かな?

袋の中にある小さな紙袋も口が閉じられてなかったので、僕たちは中身を確認しました。


シュークリーム、2個でした。




あれ?これシュークリームのために

「新宿で待ってます!!」

て叫んで、シュークリームごときのために本当に新宿で待ってたら俺ら、すごい気持ち悪くない?



そういえば新宿で待ってますって言った時、

女の子たち「大丈夫です!あげます!」て言ってたな。

あれは申し訳ないとかじゃなくてマジでいらなかったんだ。


僕たちは急に恥ずかしくなってきました。


なみちゃんが言いました。

「やべぇな。帰りてぇ。」


僕も同意見です。

しかし僕たちの脳裏に
この出会いを運命と信じて疑わない、精悍な顔で駅のホームに立つとしぱんちの顔が浮かびました。


やばいやばい、あいつ中身知らない。

たぶん「君の名は」的な髪飾りとか入ってると思ってる!



やばい、としぱんちが恥かく前にシュークリームだったと伝えないと!

女の子の乗ってる電車が代々木に着く前に!!


僕は電話をしました。
出ない。
なみちゃんがダッシュでラインを送りました。


“中身シュークリーム!逃げろ!”



シュークリームが爆弾の隠語じゃないと成立しないような文章ですが
ことは1秒を争う事態です。




としぱんちが「君の名は」だと思ってるストーリーはとんだ「ラッシュアワー3」でした。


我々はすでに新宿についてます。
頼むとしぱんち!恥をかく前に逃げてくれ!



そしてラインに既読が着く前に山手線の次発が新宿に到着しました。




中から
瀧くん気取りのクリスタッカーこと、としぱんちが女の子と降りてきました。


女の子たちは心なしか、としぱんちの熱量に引いてますが
無事、シュークリームの引き渡しに成功しました。



そして、この場で唯一、この再会を運命だと思ってるとしちゃんが無邪気に言いました。


「中身なんなんですか?」


「シュークリーム、二個です。」



髪飾り的な大切なものだと勝手に思い込んでいたとしぱんちは、自分のダサさに気づき、みるみるクリスタッカーみたいな顔色になっていきます。


苦笑いしつつ、気を使ってお礼を言ってくれる女の子。

としぱんちをフォローしようとなみちゃんが
「ちなみにどちらまで乗る予定だったんですか。」
と尋ねました。


「代々木です。」


ご足労させてたーー!!!


代々木で降りたかったところを新宿まで連れてきてたーー!!!


いたたまれない状況に、代々木で降りる女性をもう一度電車に乗せた張本人のとしぱんちが
苦し紛れに言いました。


「なんか、君の名はみたいですね。」


いやそれは無理だよ!!

シュークリーム2個はどうやってもドラマチックにならないから!!


自分たちの優しさに溺れ恥をかいた3人でした。



僕から以上。あったかくして寝ろよー