ダイニングバー
「ときたま」
2話
お昼ご飯と酒と占い
9 御令嬢様御来店
「ときたま」古時計の針はもうすぐ午後3時をさしている。
そう、、、。今日は土曜日アフタヌーンティのスペシャルタイムなのである。
奥の厨房からは、甘いスイーツの香りと香ばしいキャラメルの香りが漂ってくる。
暖かな日差しの中うとうととしたくなる時間である。
「ときたま」の入り口近くにお客様を出迎える黒服がいる。
名前は隼人(はやと)歳は23歳。
顔は小栗旬似のイケメン過ぎるイケメンである。
門番Jからの連絡事項が隼人の耳に流れた。
「伊集院 淳子様、猫のみゅうさまご到着。」
「了解いたしました。」
白いリムジンから、白いレースのワンピースにミンクのストールを羽織った
素適な女性がゴールドの猫キャリーを持って降りて来る。
「淳子さま。お待ち申し上げておりました。
みゅうさまのご機嫌はいかがでございますか?
」
淳子さまに駆け寄り出迎えた、隼人に、薔薇の香りと高貴な微笑みを浮かべ
「隼人。ごきげんよう。おひさしぶりですわ。
みゅうは、ごきげんですわ。
みこたちゃんはどちら
」
私のことである。急いで猫タワーを駆け降りると、隼人のところまで走った。
「あらー。みこたちゃん。お元気そうで何より。高山高山
」
運転手の高山さんを呼び、バスケット一杯の三ツ星猫レストランのおやつを受け取った。
「みこたちゃんにプレゼントですわ。」
頭をなでなでされて、お化粧のいい匂いのお顔をくっつけられた。
淳子女史はすきである。
この町では有名な資産家、伊集院家の一人娘で、月美と
猫画伯紗季さまとは大の仲良しなのである。
猫のみゅうさまといずもりんは遠い親戚筋になるらしい。
紗季さまは、奥のフロアで、先ほどいらしたお客様の絵を描いている。
もちろん、いずもりんもいっしょである。
今日は、久しぶりに、三匹で遊ぶ段取り。私みこたも上機嫌なのである。
淳子女史は、全国で人気の猫美容院を、何件も経営するやり手のオーナーなのである。
みゅうさまは、耳の大きな猫で美しい、やさしい性格の猫なのである。
「では、みゅうさまはお預かりいたします。お連れ様はあちらでお待ちになられています。」
淳子さまは、隼人にみゅうさまを預けるとガーデンテラスに向かった。
久しぶりの暖かな日が差すテラスには、高級なスーツを身にまとい、
いい香りの葉巻を手に、深く椅子に腰かけた、後姿のシュッとした、男性が待っていた。
「お待たせいたしましたわ、、、。」
つづく。
心の処方箋。ガーデンテラスの謎の男が気にかかるにゃん