心の処方箋。今日も誰かが傷んだ心でやってくる。 | 心の処方箋

心の処方箋

日々、笑っていられますように…。なぜ私は生まれたの。何の為に…。

同じ時おなじ時間に、それぞれの時が流れる。

大切な時間の使い方を、、。

人は、人になるために生まれてきた、、。

そして、あなたは今、、、?

ダイニングバー

「ときたま」

 

2話お昼ご飯と酒と占い

照美と大和

 

7大和の素性

 

赤い風呂敷包みを持った、和服の女性は、「ときたま」の裏の勝手口にいた。

 

「母さんどうしたの?電話くれればいいのに、、。」

「大和。ごめんね。忙しいのに、、。これ、、あんたの好きなおはぎ、、。」

「あ、、。ありがとう。」

「大和。たまには、家に戻って来てお父さんに顔見せなさい。

言わないけど、お父さんあなたの心配してるのよ。心臓があまり良くないの、、、。」

 

「わかったよ、近いうちに休みを取るから、、。

なんか食ってく?」

「いいの、お父さん心配するといけないから、すぐ帰らないと、、。」

「わかった、、。」

 

大和は、父のフランス料理店を継ぐために、留学した。

フランスで伝統料理を学び、帰国した大和は父の店には戻らなかった。

 

厳しい修行の間に料理の腕だけではこれからの店の経営を

維持するのは無理だと考えたのである。

 

「ときたま」の店の前のコック募集の張り紙を

偶然通りかかった時に目にした。

 

帰国後の予定は、基本的に父のお店で働くことになっていた。

 

大和には二つ離れた弟がいる

は、大和は先妻の子である。

子供のころから仲のいい兄弟だ。

大和は、自分の好きなところで修行をしたいと申し出たが、

父は、首を縦に振らない。

 

母は板挟みになって、つらく当たられることは確かである。

 

将来についてのことは、まだ、大和には決め切らないのである。

 

「大和ーさん。大和さーん。」

照美の声である。

「はーい今行きます。」

 

秋の午後の日差しを背中に受けながら、

美しい和服の女性は

白い日傘を差して、ゆっくりと見えなくなった。

 

大和は、

照美と同時期に昼のランチと、パーティーが入った時は出番が来る。

 

ダイニングバー「ときたま」にも彼は、とても必要な存在なのである。

 

つづく。

心の処方箋。大和のごはんおいしいにゃんラブラブ