年末に私とよしみさんと娘の三人で、100均ショップで有名な

ダイソーへ買い物に行った時の話です。





お店の駐車場の入り口で車を入れようとした時、

駐車場から二才か三才位の男の子が泣きながら、

必死の表情で何かを叫びながら出てきました。




店の前の歩道を私たちが来た方向に、走っていきました。




わたしは「迷子か?」とピンときましたが、その時駐車場にいた

何人かの大人は、誰一人もアクションを

起こす人はいませんでした。




子供は、たぶん広いお店にいる母親を見つけることが出来ず

母親を探しに店の外に出て、来た道を走って戻って

いったのではないかと、なんとなく想像できました。




車も多く、放っておくと、かなり危ない感じがしました。




よしみさんもわたしと同じように考えたらしく、

駐車場に車を停めた瞬間、私が出るよりも早く、

飛び出していきました。




子供は、すでに50メートル位先に行っていましたが

よしみさんはすぐに追いつきました。




遠目で見ていると、よしみさんはしゃがんで子供に話しかけ

手を引いてこちらに戻ってきました。




子供の顔は、涙と鼻水と汚れでくしゃくしゃで、手や服の袖や肘は

真っ黒に汚れ、涙と鼻水でテカテカになっていました。




よしみさんは、そんなことは一切気にせず、優しく手を握り

子供にずっと話しかけていました。




お店に入り、お店の店員さんと協力して、

母親を探すことが出来ました。





私の母は、若い頃から他人の子供でも、悪いことをしていたら

しっかり叱り、よい事をしたら褒めてやり、

迷子など困った子がいれば、人事にせず助けていました。



母に言わせると、自称「日本の母」なのだそうです。



そのことを、その時思い出しました。





わたし

「よしみさん、早かったねえ、

僕の出る幕がなかったじゃない」




よしみさん

「わたし、ああゆうのを見ると、放っておけんのよ」




「よしみさんは日本の母じゃねえ」




「え、なにそれ?]




[ええんよ、ええんよ、とにかくそうなんよ」




「ふ~ん」




よしみさんは、

わかったのか、わからなかったのか、

どちらともいえない顔をしていました。




とにかく、よしみさんは日本の母なのです。