籐椅子を軋ませ忘々庵しづか
 

目をつむり古籐椅子を冷ますなり
 

短冊を散らせし夕の籐椅子揺るる
 

白猫にいま籐椅子を占拠され
 

ながながと籐椅子柩のごときもの      【笑い仮面】

 

 

 籐椅子、思いっきり久しぶりに詠んでみた。やっぱり、気持ちがよくなるなあ。残念ながら、作品はあいかわらずヘボいまんまだけど、籐椅子に長くなっている自分の姿を想像しただけで、どうしてこんなにも浮世離れした心地になれちゃうんだろう?

 

 入念に編みこまれたくろぐろとした藤の蔓に身をゆだねていると、そのままのかたちで死んでいけちゃうような、倒錯した安堵感があるんだよね。ま、いま、うち、忘々庵には幸か不幸か籐椅子はないから、ちょっぴりアブナイつぶやきとして、笑って読みとばしてほしいです。

 

画像:ENGINE