目高・五句（その二）

めだか群れちひさきムラをなしにけり

腹浮かべすなはち正午の目高沈める

緋目高に喫水線のあるらしく

山男目高嫌ひな嫁とをり

雨音とめだかの声を聞きにいく　　　　　　　　【笑い仮面】

　おとなりさんのご主人が、どっちゃりめだかを飼っていて、ゴーヤに水をやりに行くとき、ちょこちょこ覗き見させていただいているが、なるほど、おもしろい生き物なんだなあって思ってしまった。

　プランターほどもある大きな水槽に、ちっちゃなめだかがわちゃわちゃ気ままに泳ぎまわっている。けれど、よく観察してみると、限られた世界とはいえ、ちゃんとボス的な存在がいて、その個体の動きにしたがって、その他もろもろのがのろろくさと動いているようなんだ。これは、ちょっとしたムラ社会の原型だなって感じ。

　日頃、会社で、せっせと働いているご主人の唯一の（？）癒しが、めだかのムラを保護していくことだとは、いささか転倒しているような気がしないでもないけれど、いらんことは言わずにながめているとしよう。