きのふよりつづく朝や柿の花
 

渋柿の花々ひそとひらくなり
 

店さきに柿の花挿すバー「真珠」
 

柿咲くや十五の僧のためだけに
 

柿の花わが含羞の色をもち                           【笑い仮面】

 

 

 《柿の花》。はじめて詠む季語だ。

 柿にも花が咲くんだって知ったのは、数年前のことだ。うちの裏手にある空地(庭?)に、古い柿の木が立っていて、毎年、ご近所のおじいさんから、もぎたての柿をいただいていた。で、あるとき、その柿の木の下に、黄色い花が落ちていたのを目にして、びっくらこいたんだ。

 

 林檎も梨も、杏子やトマトなんかも、それぞれ花があるのにはなんの違和感もなかったけれど、え?柿が花を咲かせるの?っていう、ちょっとしたカルチャーショックだった。いや、ぼくが無知だっただけなんだけどね。それから何年かして、柿の木は、もう痛んでいるからということで、ばっさり伐られてしまって、あとにはあおあおとした草々が揺れているのみの眺めとなってしまったのでした。

 熟れた柿の実はむろん、花にも思いをはせつつ、詠んでみた。

 

 

画像:タウンニュース