制服のカラーはづさせ川燕
 

つばくろのあとから風が朝の陽が
 

足もとに燕一閃風を呼び
 

初燕荒川洋治の詩を忘れ
 

こんにちはではさやうならつばくらめ    【笑い仮面】

 

 

 五月のすっからかんに晴れわたった青空の下を、翼の音もたてずに燕が駈けぬけてゆくさまは圧巻だ。息をのむほど、うつくしい。それから、雨後のアスファルトぎりぎりの低空飛行をこころみて、それからいっきに雲のなかへつっこんでゆく姿も、凛々しくて、これまたうつくしい。そんな燕たちの生態をじろじろながめながら詠んでみた五句。

 

 四句目にゲスト出演をしてもらった荒川洋治氏は、あの故・吉本隆明氏をして《若い現代詩の暗喩の意味を変えた》と絶賛さしめたことで有名な現代詩人です。《中原中也》でも《やなせたかし》でもよかったんだけど、かつて荒川氏の《修辞的現在》の洗礼をたっぷりあびた(あびすぎた)ぼくとしては、ぜひとも、荒川氏の名を詠みこませていただきたかったしだいだ。他意はない。

 

 

画像:日本の動物画