白牡丹泥大島の臀を撫で
 

くたくたと果てゆく庭の牡丹かな
 

夢ののちぼうたんうるむ床昏し
 

黒傘にまみえぐらりと深見草
 

牡丹伐る手間暇かけて雨ふかむ      【笑い仮面】

 

 

 気のせいか、降る雨が重くなってきたような気がする。もう春は終わっちまったんだななんてぶつくさ言いながら歩いていたら、とある一郭で見事な牡丹の花に出くわしてしまった。深い紅色のと、白いのとがまざって咲いていて、一瞬「キリューインハナコ」の世界に来たのかと思いこんでしまえるくらいの迫力を妖艶にたたえていた。

 うん、牡丹だったら、この雨の重さにも耐えてくれるだろう。あいかわらずのひとり決めをして、うっそうとした日本庭園のある屋敷の前をあとにしてきて、詠んだ五句。

 

 

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