鳥を撃つ音とほからじ花冷ゆる
花冷えて友の詩集をくべにけり
耳たぶのうしろ花冷ゆばかりなり
おれの名は墓にはあらで花の冷
花冷えをかかへ行くらん熊野寺 【笑い仮面】
まだけっこう寒い。こないだ、おかんの外科受診のつきそいのために(入院してるのに……)、朝っぱらから、バスに揺られてとなりの市の日赤まで行ってきたんだけれど、おおの、寒かったぜよ。病院のなかはむろん、じゅうぶん暖房がきいたいたけれど、それでもひとの出入りのたびに、真冬のそれをおもわせるようなひんやりとした風が吹きこんできて、入り口付近でたむろしていた患者さんたちも、「うわっ」「寒いですね」なんてとんきょうな声をあげていらしたほどだった。
おかんは、幸いなことに骨折した部分がじょじょにくっついているとのことでひと安心したのだろう。そんなうら寒い廊下で、くうくうと寝息をたてていらっさる。なんだかおさるの赤ちゃんみたいな寝顔を見ていると、そこだけあったかい風が吹いているようでふしぎな気がしたもんだった。おやおや、ぶるっと肩をすくめているよ。
画像:Creema