若葦を繁らせ大和の風やはら
 

出家するつもりもあらず葦の角
 

泥中に葦牙そよぐつもりかな 
 

葦草やなにも考へぬひとでありたし
 

発作後に葦細かりき細かりき      【笑い仮面】

 

 

 今回は、《葦》ではじめて五句詠んでみた。川原や沼地なんかでたよりなく風にそよいでいる姿を見ると、こいつ、ひどくひ弱そうななりをして、そのじつ、かなりしぶといやつなんじゃなかろうか、なんて思ってしまう。じっさい、水底に伸びた根はしっかりと土と水にからみついていて、野生の植物の逞しさをかくさない。

 

 そんな葦をぼうっと眺めながら、写生というより、ぼくのおもいのたけをぶつけたような五句になってしまった。これが、いまのぼくの等身大の自画像と言えるのかもしれない。

 ちなみに、三句目の《葦牙》は《あしかび》と読むそうです。

 

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