ポケットに朝日詰めこみ寒卵
 

寒玉子粗末な箸を怯えさせ
 

ちのいろのうくかんたまごうまかりき
 

火の顏に寒玉子飲む喉細し
 

寒卵頑ななるを角で割り               【笑い仮面】

 

 

 あれやこれやで卵の値段も天井知らずで、もはや《物価の優等生》なんて言ってられなくなっているらしい。近所にあるAコープでも、10個パックで300円を越していたっけ。

 それでも寒中に獲れた卵は、滋養満点というから、やっぱりついつい買ってきてしまう。じっさい、ふだん食べてる卵とくらべてみると、表面がぷるぷるしていて、色も味も濃いような気がする。たんに、噂に乗せられているのかな?と思いながらも、あつあつのご飯の上でゆれている黄色な玉子に醤油をぶっかけていただくと、なるほど、しつこい偏頭痛もきなきなもどっかへふっとんでいっちゃいそうだ。

 シンクの角で、卵を割るときのあの音だけは、いまもいやだけど。

 

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