黄金虫夜の底よりあらはるる
七色の礫なりけり黄金虫
起きあがりかなぶん少しくよろめける
しづけさやかなぶん網戸を撃つときも
こがね虫ゼンマイ腹に匿しもち 【笑い仮面】
暑いけど、苦手なんでクーラーをつけずに、本を読んだり、いやらしい詩の翻訳をしているときに、どこからともなくやってくるやつ。切れかけのスタンドのあかりに溺れるようにぶんぶん飛びまわっているかとおもったら、閉じている網戸に全速力でぶちあたってみたりで、へたくそなピエロの寸劇を観せられているような気分になってくる。愚かしく、依怙地でこっけいなやつだ。
リインカネーションは信じてはいないけど、もし生まれ変われるものなら、くらげの次に、こがね虫になってみたいもんだと、気まぐれなことを脳天の片隅に置いて、ふたたびいやらしい詩にむかいあう仮面なのでした。
画像:artmeter