紫陽花を咲かせわたしの生きづらく
 

ラジオよりペニーレインが濃紫陽花
 

雨を得てかたしろぐさは雨の色
 

深更に四葩の花のさめざめと
 

死にかけてまだ見てゐたし額紫陽花         【笑い仮面】

 

 

 かなりせっかちにやって来た梅雨にタイミングをあわせたのかどうか、あちらこちらで紫陽花の花が咲いているのをよく見かける。ほのかな色あいの花びらが幾重にもたばねられ、まるで鞠のような姿をしている。《四葩の花:よひらのはな》という子季語があるように、その花びらは、ちんまりしたのが四枚集まって花をなしていて、古人の観察眼の鋭さに、思わずううんと唸って見たりしている。

 

 長年生きていたら、うんざりすることもあるけれど、雨にうたれている紫陽花をながめていると、ささくれていた部分が少しずつほぐれてくるような気がする。なんて、らちもないことを考えながら、ラジオから流れてくる故かまやつひろしさんの歌に酔いしれてみたりしている仮面なのでした。

 

画像:現代日本画秀作展