強面の眉ひきつらせおでん酒
おでんやにふりつむ星や湯気たちぬ
煮えすぎたおでんつつ突くひとひとり
合掌し味噌田楽を食ぶ小僧
訃報きき菜箸届かぬおでん鍋 【笑い仮面】
おでん、よく食ってたな。まっ赤なカウンターに、おっさんもおねーさんもずらり並んで、みんなではふはふ言いながらあつあつのおでんにかぶりついていた。大根、ごぼ天、厚揚げ、玉子にこんにゃくと、好き好きにオーダーして、ねり辛子をたっぷりつけて、美味い美味いって快哉をあげていたもんだ。
高知公園近くの屋台のおでん屋にもよく行っていたっけ。のんべえたちのだみ声と、深夜に塗れた木々のざわめきをいっさんに聴きながら、あついお出汁をずずうって飲みほしていたもんだった。古ぼけた木椅子が苦しそうな音をたてていたことを、いまでも覚えているよ。
画像:プーさんの満腹日記