こう寒いと、持病の片頭痛がぶりかえしてきて、一日中、ムンクの画みたいにしていなけりゃなんない。手のひらも足先も、ついでに心の奥のほうまでがしんと冷えこんできちゃう。こりゃたまらんということで、せっせとこしらえたのは、なんだかよくわからん鍋物。さいきん、こいつにはまってしまっている。

 

 冷蔵庫の奥から、茄子と、大家さんからいただいた大根、白菜とにら、マッシュルームを取り出してきて、やたらめった切りまくる。大根は三分の二くらい使って、残りはミキサーで、がががっと大根おろしにして、あとからぶっかけたら、みぞれ鍋っぽくなって、しこたま美味い。にらは、百均の鋏でざくざく切っちゃう。で、お肉は鶏の胸肉をこれまた鋏でぶち切ってしまう。あとはとことん煮こむだけ。ウインナーもあつあげ豆腐もあるでよ。これなら、多少、手が悪かろうが、頭のまわりが遅かろうが、とにかくは食べられるものが、ははは、出来上がっちゃう。

 

 ある程度煮こんだら、でっかい鍋を卓上コンロ(妹のうちの)までよたよたと運んでいって、も一度、ぐつぐつ文句をいわせながらいただく。ううん、なんの味が出ているのか、けっこう美味である。さっきどっさりこしらえた大根おろしをぶっかけて食べると、ほんのりしょう油出汁が、惨劇のあとのなまなましい鶏と野菜たちの味としっかりからんで、ぼくの舌を火傷させてくれるのだ。汗だくになって食べ終わったころには、片頭痛のかけらもなくなっちゃっているんだから、うん、こいつはいいや。

 

                                   【笑い仮面】