二週間ほど前から、イーケプラという名前の薬を呑んでいる。
新しい抗けいれん剤だ。
ううん。今のところ、まあ、いい感じ、かな?
ぼくは生まれつきの病気のせいで、てんかんの発作がたびたび起こっていて、発作を抑えるための薬を、呑んでいる。
それがハンパな量じゃない。あんまり量が多くて、大量の水で流しこむもんだから、一回呑むと、お腹がはっちゃうくらい。
ええと、テグレトールにデパスにセルシン。ムコスタに、鎮痛剤のボルタレン、慢性肝炎をフォローするためのシナール。ヒダントールもあったっけ。
錠剤・カプセル・粉末ぜんぶで十一種類あった。それに、うがい薬とシップがついている。
これを、なんと、朝昼夕×ほぼ五十年。すごいね。
そのヂャラヂャラていうくらいの大量の薬は、ぼくの発作をある程度は抑えてくれていたと思うけど、さすがに副作用がきつかった。
朝、目が覚めても、頭がフラフラして、夢の中にいるようだ。呂律がまわりにくく、歩くと脚がもつれることもあった。
知らない人が見たら、まるで酔っ払いだ。
けれど、副作用があるからと言って、服用をやめるわけにはいかない。
脚がもつれ、目がとろんとした人間が、まともに生きていけるはずもなく、ぼくは職場を追われるように去るしかなかった。
「障害者福祉法」や「支援法」をはじめとした法律はあるにはあるが、社会は障害者や病をもつ者にとって決して寛容ではない。
それが現実。
最近、てんかんの治療を受けている人がおこす悲惨な交通事故のニュースを、立て続けに耳にする。《てんかん》という病名に、ぼくが過敏に反応しているだけなのかもしれないけれど。
多くの人は病気を隠して免許を取得しているようだ。
じっさい、免許の取得は出来ないことではないらしい。しかし、生命を奪うことにもなりかねない。
たしかに今の世の中、自動車の運転ができないというのは、不便だ。仕事を探してみてもどれもこれも《要自動車運転免許》だし。
ぼくは四年前に、高知で、ケア・マネの資格を取得しているだけれど、ケア・マネの仕事には就いていないし、これからも就けそうにない。
もしできることなら、ぼくのケア・マネの資格と、自動車運転免許を交換してほしいくらいだ。
そんなことまで思ってしまう。
でもまあ、今のところは自動車の運転免許を取得するつもりはないけれど。
「いい薬ができたんですよ。試してみませんか?」
新薬ができると、医師は、とにかくその薬の薬効に関するデータがほしいから、患者に
「一度、試してみませんか?」
とすすめる。
まるで医師は、製薬会社のバイヤーみたいになっている。チューチュー、ぼくはモルモットじゃないんだよ。
さて、そのイーケプラという白い錠剤だけれど、以前、一日二錠処方してもらって呑んで、いっきに天井が大回転したことがあった。
だから、あまり気が進まなかったけれど、《眩暈、眠気なんかの症状が軽減されるはず》、という若い医師の口車(スンマセン)にのって、一日二錠で呑んでみているところだ
そしたら、今度は、なんと、スッキリ・ポン。
じつにいい感じだ。
目覚めもいいし、脚も舌もからまっちゃうなんてこともなくなっている。朝から夕まで、PCのキーを叩いていても大丈夫。
以前だったら、二時間くらいで根をあげて、昼前からベッド・インしていたところだ。
中国山地特有の寒さとしっけのある日には、その二日ほど前から、額と頭のてっぺんがもっこりと腫れあがり、重く痛むのはあいかわらずだけど。(人間天気予報です)
それでも眩暈やふらつき、歩行障害なんかがなくなっているのは嬉しい。
とりあえず、今しばらく、イーケプラのお世話になってみることにする。
あら?なんだか、ぼくもバイヤーさんみたいになっちゃった。
上の写真はゆうべ呑んだ分。ミルク色の楕円形の錠剤が、イーケプラ。
銀色の小さな袋のビオフェルミン顆粒は、整腸剤。
57という番号のある袋は漢方薬。歯ぐきの炎症(これも副作用)を抑えるうがい薬です。
もう、ご馳走さまっていう感じ(笑)
【笑い仮面】