笑い仮面のブログ-おい、ハナトラ・・・



ハナトラ。おはよう。
濡れた病葉を枕にまだグーグーいっているところを
起こしちゃって、ごめん。
でも、ほんの少しのあいだ、お前の三角耳を貸しておくれ。


どうしてもお前に聞いてほしいはなしがあるんだ。


ふつか前。
デニムの袋に詰めこんだお前を
川の向こうの裏山に放して、帰って来た
そのあとのこと。


ギントラがね、
お前とよくケンカをしていた
あの、毛並みのいいやつが錆びついた
檻の中であばれていたよ。


《三十分、いや十分ちがいだったんだなあ》


そうだ。お前のかわいいチビたち。
ミケとハイ(灰)は、まっさきにあのでっかい檻に
とじこめられて、ぼくもハナトラの目で
眠れない夜をすごしたんだよ。


でも、ハナトラ。よくお聞き。
あとの三匹は無事だ。安心しておくれ
たぶん
もうこのヤバンな山にはいないよ。


《時化の前には猫もネズミも、船から姿を消してしまう》


そんなはなしそのままに
みんないなくなっちゃった。
不思議なこともあるもんだなあって、それはちがう。
お前と、ギントラ、そしてかわいそうな二匹のチビたちの


悲しい鳴き声が、三匹のチビたちを守ったんだ。
おりこうなお前のチビたちは
書を棄てて
この血ぬられた山からどこかへ駆けて行ったんだ。


《ノラ猫一掃大作戦は、あと一週間、展開される。》


ねえ、ハナトラ。
ほんとうに不思議なこともあるんだね。
なんだ。たらふく食べて
また、クークー寝ているのかい。

      
       ★


今も、ハナトラがぼくの横にいないことが嘘みたいだ。
でも、ハナトラを見習わなくちゃ。
ぼくは三文ノラ詩人なんだ。


                      【笑い仮面】