タンブラーは眠る
暗がりの片隅にしつらえられた
痴態の前で 琥珀を
重く揺らしている
そんなところで
絡み合う男と女の指は
束の間の感情を昂ぶらせては
それぞれに違うところで
まどろむ
という密約があって
それを確かなものにするために
スパンコールの溜息が洩れ
深い夜の片隅で
琥珀の酒は揺れている
★
闇の中でのさざめきと琥珀色をした倦怠の中から、ふと詩が生まれたこともあったっけ。
1994年作。
【笑い仮面】
、