WARACONA WEBLOG

WARACONA WEBLOG

THE SPACE PUNK ROCK.

Amebaでブログを始めよう!

前回ブログ書いたのが2019年の11月だって。

ほんと、定期的なブログを続けてる人は凄いな。

 

どうも、ystkです。

 

久しぶりのブログ、久しぶりの長文テキスト。

タイプする指が踊ります。

文体がバラバラなのはお気になさらず。

 

とは言え今回はWARACONAの事ではなく、

同じ山陰のバンド、hommeの事。

 

Twitterなどから来られたhommeファンの方も多いでしょう。

これを機に、WARACONAの事も気にかけて頂いて、

WARACONAのTwitterをフォローして、

YouTubeをチャンネル登録して頂いてからお読みください(笑)

約束だよ(笑)

 

 

さて、本日9/14 (に書いています)、

homme 4ヶ月デジタルリリースの第四弾である

「あなたがいるから、あなたがいるなら」

がリリースされ、同時にミュージックビデオが公開されましたね。

homme、リリースおめでとう。

そして4ヶ月お疲れ様。

(WARACONAは今月第3弾をリリースしますよ!!)

 

ご存知の方も多いと思いますが、ワタクシystk、

hommeが現体制となってリリースされた「記憶旅行」から

最新曲である「あなたがいるから、あなたがいるなら」まで

15本全てのMVの制作を担当しています。

 

「記憶旅行」の発表が2015年だそうなので、

7年以上、hommeの2人と、そして楽曲と向き合っています。

懐かしいなあ、記憶。

今観ても胸を締め付けるストーリー。

 

hommeのMVは隠れたこだわりや

気付きにくい仕掛けを入れる事が多く、

時々Twitterやこのブログで解説しています。

 

ただ、今回の4作に関しては、それが出来なかったのです。

と言うのも、hommeは「4ヶ月連続デジタルリリースします!」

と言っていますが、「その全てにMVがあります!」とは言ってませんでした。

そしてMVを俺が撮る事も(まあ俺が撮るんですけども笑)

 

例えば「Stars」の解説をする時に

「4部作の1作目なので…」と説明すると

4作にMVがある事が予想出来てしまいます。

「正当防衛」の解説で

「実はStarsと繋がりが…」と説明すると、

4作MVがあり、それぞれに繋がりがあると予想されてしまいます。

 

とは言え、俺の解説を楽しみにしてくれている方も、

すこぉしですが、居てくれるんです。

予想されるのを避ける為、解説は「その時が来たら……」と言っていました。

今が「その時」ですね(笑)

 

「制作」と言いましたが、何をしているのかと言うと、

基本的には全てです(笑)

プロセスの順序は都度変わりますが、する事は大体同じ。

hommeから制作の依頼があり、楽曲を提供され、

MVのアイディアを考え、時にhommeサイドから要望をもらい、

アイディアを基にロケーションを決め、スケジュールを相談し、

撮影し、編集し、修正のやり取りを幾度か経て、完成する。

 

基本的に「こういうMVにしよう」というアイディア(コンテ)は俺の発案です。

 

しかし今回の4作、hommeサイド、特に秋山くんのイメージが

今までよりもクリアになっており、「こんなシチュエーションがいい」

「このパターンで行きたい」と言う要望が、

今までよりもとても具体的でした。

核の部分が揺るぎなく、俺はそこに肉付けし、細部を整え成形する。

今回はそういう作業が多かった様に思います。

 

最初に話をもらったのがいつだったか…

恐らく今年の3月くらいの事だった様に記憶しています。

「4ヶ月連続でリリースする」

「その全てでMVを作りたい」

そう聞いた時に、2022年は忙しくなるなあとぼんやり思った。

 

「せっかく4作あるなら、繋がりのある作品にしたい」

と俺は言いました。

「曲がまだ無いんです」

と島田くんは言いました。

 

ああもう、こいつらは何故いつも必ず俺に試練を与えるのか。

こうして、先の見えない4作品を繋げる旅が始まりました。

 

先に言っておきますが、

このブログを最後まで読み終えた根気のある方は、

きっと「Stars」のMVをもう一度観る事になります。

 

 

そう、1曲目は「Stars」

曲を聞く前に、秋山くんに会った時に

「めっちゃ宇宙な曲です。竹下さんの得意分野ですよ。」

と言われた。

後日、曲が送られてきて聴くと、

「なんなんだよこの壮大な曲は。」と思いました。

俺の得意な宇宙はさあ、WARACONAみたいな、

SFっぽい宇宙なんだよ。

hommeの持って来た宇宙は「天体」なんだよ。

 

1作目、起点ということもあり、何度もイメージした。

「星空」は絶対入れる。

第一弾だから、hommeは絶対メインにしたい。

本当は、プラネタリウムで撮影したかった。

プラネタリウムの星空の中で歌うhomme…って想像したけど、

でもほら、プラネタリウムって上に向かって照射するじゃないですか。

hommeに浮いてもらわないといけない…なんてクスリと笑いながら、

この案は却下しました。

 

と言う事で、プロジェクターの出番です。

プロジェクターで星空を投影し、その中でhommeに演奏してもらおう。

使う物や服装はなるべくシンプルにしたい。

そう思いつつhommeと打ち合わせ、ロケーションや内容を詰めて行きました。

 

今回、hommeにも伝えてない要素が所々ありました。

第二弾、第三弾…と制作を重ねて行く上で話した物もありますが、

きっとこのブログを読んでhommeが知る事もあるでしょう。

 

俺はずっと、この4作の繋がりについて考えていました。

 

「Stars」撮影までに決めていた大まかな繋がりは2つ。

「判りやすい繋がり」と、「判りにくい繋がり」を入れよう。

 

「判りやすい繋がり」は歌詞表記。

「Stars」では真ん中に1本の線があり、その中に歌詞が表示されます。

「正当防衛」では2本、「愛はミステリー」では3本になり、

「あなたがいるから、あなたがいるなら」では4本の線が四角を作り、

それが原稿用紙の様なマス目となって歌詞が表示されます。

これは後ほど説明しますが、

「Stars」撮影前の段階では原稿用紙ではなく、ただの4本の線にするつもりでした。

因みにこんな重要な事を、hommeには3作目辺りで伝えています(笑)

 

「判りにくい繋がり」は、継承する事。

「Stars」から「正当防衛」へ、

「正当防衛」から「愛は~」へ、

「愛は~」から「あなた~」へ。

継承については楽曲ごとに説明しますね。

「Stars」についても、実は継承されている要素があるんですが、

それもまた後ほど。

 

さて、「Stars」の話に戻りましょう。

プロジェクターで星空を映し、その中でhommeが演奏する。

これ、めちゃくちゃ暗くしないと星空は映らないし、

暗くするとhommeが見えない。

どうしよう?とhommeに相談すると、

「別に俺らそんなにしっかり映らなくていいっすよ!!」

との事(笑)

「じゃあ…」って事で、ガッツリ暗くしました(笑)

とは言え全然映らないのもなあ…と思っていました。

悩みながら、「繋がり」についても考えていました。

1作目は何をどう継承しよう。

「判りにくい繋がり」とは言え、よく観てる人は気付く様にしたい。

でも「絶対気付かないであろう繋がり」も入れたい……

なんて事を。

 

ぼんやりと、「1作目はhommeのこれまでのMV作品の要素を継承しよう」

と思い立ちました。

ただ、これについては「ここはこの作品の要素で~」と、ハッキリさせたくなかった。

全ての楽曲の要素を入れるつもりもなかったし、それはあまり強くなくていい。

なので、何となく「あの曲っぽいな」と思ってもらえる部分があれば…という感じで撮影・編集しました。

「Giant Killing」っぽかったり「Days」っぽかったり、
「シンプル」っぽかったり、「Desire」っぽかったり…

そういう部分、場面を散りばめました。

また、意図せず「あの曲っぽいな!」と感じる部分もありました。

皆さんも何となく感じて頂けたら。

 

 

後半につれて激しさの染み込んでくる楽曲。

編集で画面を揺らしてる部分もありますが、
hommeの演奏でカメラが揺れてる部分もあります。

それ程に、力の籠った撮影だったのです。

 

今回、歌詞の中にある「終わりは始まり」という部分に着目しました。

これ、後でテストに出ます。

 

1作目ですので、やはり起点、「始まり」を表現したい。

そう思って、「宇宙が始まる」様な、そんなイメージをプロジェクターの映像に込めました。

そして楽曲の壮大さや繊細さ、音の重なりなどを表現したくて、

映像を何層か重ねています。

プロジェクターで投影した映像の中で演奏するhommeを撮影した映像、

そこに編集で、プロジェクターで投影した映像を重ねたり、

演奏の映像をもう1つ重ねたり、更にそれらにエフェクトをかけたり…

自分でももう把握出来ていませんが、色々と重ねてます(笑)

 

歌詞表記については、先程言った「1本線の中に歌詞」というルールに縛られない様に、

敢えて途中で表記を変えたりしています。大きくなったり横書きになったりね。

これは、ルールを決め過ぎると、

ここから始まる、この後制作するまだ見ぬ3作において

自由度が狭まるだろうと思ったからです。

派手にしたかったのもある(笑)

 

さて、先程から言っています「繋がり」ですが、

「判りやすい繋がり」は歌詞の線で決まった。

「判りにくい繋がり」の継承もどうにかなりそう。

「絶対気付かないであろう繋がり」はどうしようかな~~~と思いながら撮影していました(笑)

まあ絶対気付かない事なので、正直思い付かなければ無くても良いかなあ。

なんて考えながら撮影は進み、ふと窓の外を見た時に

「ああ、これだ」と思い付きました。

この時点で、俺の中では4部作が完成していました。

残り3曲をまだ聴いていないどころか、恐らく生まれてすらいなかったのに。

ここでの思い付きについては、このブログの最後の方で説明しますね。

 

「Stars」はこんな所でしょうか。

皆さん、まだ1作目ですよ。

ここらで一旦珈琲でも飲んで落ち着いて下さい。

2作目の様に。

ほんと長過ぎるのでここからはサクサク行きたい!(願い)

 

 

さて、2作目は「正当防衛」

まっっった優しい曲持って来たなあおい!!

こちとらフォークソング育ちのパンク野郎だってのに!!!

 

楽曲を聴くに、歌詞を読むに、

「恋人同士」の曲であろうとは想像出来た。

これはhommeメインのMVではないな。

モデルさんに出演してもらおう。

モデルさんを手配する何案かのルートは3人で考えたが、

秋山くんの提案で、水木彩也子さんにお願いする事となった。

MVご覧になった方はもう解っていると思いますが、

水木さん、演技上手いし、こちらの意図を汲んでくれるし、

水木さんなりの解釈で演技してくれる。

物凄くやりやすい上に、こちらの意図せぬ発見もあったり、

MVの深みを増してくれる方でした。ありがとうございます。

 

初めて撮影する方が出演すると言う事もあり、

久し振りに絵コンテを描きました(笑)

 

このMVの絵コンテにおいて重要視したのはラスト。

歌詞からも恋人同士のすれ違いというか、

もどかしさみたいなものを表現したかったんですが、

ラストをどうしようかと。

普段あまり歌詞について深く聞かない様にしてるけれど、

この時は秋山くんに質問してみた。

「ねえ、このカップルって別れる?ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか知りたい。」

「ハッピーエンドって感じでもないけど、バッドエンドのイメージはないです。なんとかかんとかまた続いていく感じ。」

との事で、なるほど。許そう(笑)

絵コンテのラストが微笑に決まりました。

 

映像は基本的に彼氏の目線で進んでいきます。

観ている方に没入して欲しいという思いもあり、

撮影の時に水木さんにも言いましたが、

俺の中ではこの彼氏のイメージ、秋山くんなんですよ。

(楽曲としては知りません笑)

水木さんも「わかります」と笑っていました(笑)

なので、彼氏からの目線で終始することにしました。

 

冒頭の彼女の台詞から、無音部分、彼氏の「棘」のある台詞を聞いて、

彼女の表情と共に映像の色が変化します。

彼女の気持ちが冷ややかに静まるのを、

映像の「色温度」を下げる事で表現しました。

 

そこからは、機嫌を損ねた様な、落ち込んだ様な、「冷ややか」な彼女と、

笑顔で楽しむ「温かな」彼女の映像が入り混じります。

これはお互いの「理想と現実」というか、

共感してもらえなかった/余計な事を言ってしまった「現実」と

本当は笑っていたかった/本当は素直になりたい「理想」との対比です。

2人の理想は一致しているのに、現実は異なる。

 

この曲は珍しく、1番2番通して定点になっています(間奏除く)

サビで盛り上げたりカットを変えたりせず、そのまま。

なんとか挽回したい2人の思いと、しかし「動かない」現状を表しています。

この流れができたのも、水木さんの表情や仕草があってこそです。

 

この曲では、カットの切り替えのタイミングをわざとずらしています。

タイミングが悪いと言うべきか…

俺の感覚ではありますが、いつもならここで切り替え!というタイミングでは変わらず、

ちょっと遅かったり早かったりのタイミングで切り替えています。

これも、気持ちのズレを表現しています。

 

2番が終わっての間奏で、煙草のシーンに。

こちらも気付いた方多いでしょうが、

外で煙草に火を点けようとする彼女と、

店内でそれを覗く彼女がいます。

「思い通りにならない」現状に苛立つ自分、

それを客観的に見る自分。

しかし店内から出られない、殻を破れない・打破できないジレンマ。

煙草の銘柄が「HOPE」だと言う事に意味があるのではとツイートされていた方がいましたが、

これ、ぶっちゃけ俺が思う「女の人が吸ってたらカッコ良い煙草」ってだけでして…(笑)

特に意味はありません。

銘柄よりもライターですね。

ピンク色のライターの火が点かない。

気持ち(ガス)が切れてしまった。

というイメージです。

 

その後、プロジェクターで「楽しく過ごす」自分の映像の前に立ち尽くす彼女。

これも対比ですね。

「本当は素直になりたい」「本当はこうありたい」と思う反面、

なかなか表に出せない。

「理性」と「意地」が抑え込んでいるんです。

でもだんだんと大きくなる「楽しく過ごしたい」という気持ち、

そしてカメラ目線は「決意」です。

「許そう」と決めた瞬間、気持ちが溢れます。

 

因みにこれ、絵コンテ段階で「どうやるんですか?」って島田くんに聞かれたんですが、

撮影した映像を現場で編集してプロジェクターで投影しています。

そして「決意」の瞬間、プロジェクターで投影されているのは

「Stars」の星空です。

「Stars」の歌詞を読んで頂ければイメージ掴めると思うのですが、

「Stars」の歌詞(特に終盤)の様な事を考えて、彼女は「許そう」と思います。

 

ここまでの説明を聞いていただいてから改めてMVを観てもらえると、

「決意」から後の「冷ややかな」彼女の表情のイメージが変わるのではないでしょうか?

そこからは不機嫌ではなく、タイミングを見計らっています。

許すタイミング。

そして、タイミングを見計らって許す…と俺は考えていたんですが、

撮影時に水木さんから「彼氏が謝ってくるのを想像していいですか?」

と言われ、「ああ、そうか。彼氏謝るんだ。」と思いました。

俺も彼女もびっくりです(笑)

タイミングを見計らって許そうと思ってたら、彼氏の方から謝って来た。

こういうサプライズがあるから、恋も撮影もやめられないぜ(笑)

水木さんの案を頂いて、彼女の気持ちを考えるに、

多分恥ずかしいというか、照れるだろうなあと思い、

「冷ややかな」彼女は隠れます。

「温かな」彼女と重なり、最後は笑顔で終わります。

ただ一言、「ばか」と漏らして。

「ばか」って凄いですよね。

言い方によって悪口にも褒め言葉にも、許しの言葉にもなる。

最後の言葉は「ばか」だなあって、絵コンテの時から決めていました。

「決意」からラストの「ばか」までで、また色が変化して行きます。

冷たくなった気持ちがだんだんと溶けていく様に。

ゆっくりと暖かくなっていく、そんなイメージです。

 

個人的にはこのラストからまた冒頭に戻って、

同じ事繰り返す…なんて事もあるんだろうな~なんて思ってます。

意図した訳ではありませんが。

 

他にも隠し要素や前作との繋がりがあって、

Twitterでも色々と考察してくれてる方、いましたね。

 

「Stars」では1本だった歌詞部分の線が2本になりました。

歌詞の書体ですが、漢字はゴシック、平仮名はアンチック(明朝体に近い)にしています。

これは漫画の台詞で使用される組み合わせです。

この曲の背景にストーリーを感じたので、歌詞にも反映しました。

 

そして最初と最後にカフェで流れているBGMは、「Stars」です。

気付いてる方いたの凄い!

この「Stars」の音量は、hommeと慎重に決めました。

気付くか気付かないかの微妙なライン。

因みに現場で流している訳ではなく、編集段階で入れています。

 

これ、MVを見せた時にはhommeに言ってなくて、

修正重ねてる途中で「そう言えば前後でBGM…」と言ったら、

2人とも驚いていました。やったぜ。

 

「正当防衛」に関しては以上ですかね。

まだ2作目……折り返し……

珈琲おかわり行きましょう。

3作目も。

 

さて3作目は「愛はミステリー」

もうね、楽曲聴いた時「え、これどうすんの?」って思いましたよ(笑)

 

ただ、このMVでの秋山くんのイメージは殊更明確で、

「サイケデリックで怪しい感じ」だそう。

なるほど確かに。

変な衣装でケバケバしい映像にしたいなと思った。

 

ただ、何をどうする・何処でどうなるっていう具体的な説明ができない。

「ごめん、今回ちょっと説明難しいわ。とりあえず信じてくれ」

と、映像監督としての仕事を8割くらい放棄した発言を快諾してくれたhomme。

嬉しいけどあまり俺を信じ過ぎるな(笑)

 

自然とメイクする案が出て来て、

メイクをユイさんにお願いしました。

jubilee jubileeのステージメイク等を担当した方だそうで、

初めての「メイクの打ち合わせ」に。

秋山くんのイメージは「エロス」「妖艶」「愛」という感じ。

そう言ったものの化身の様な。

 

それを聞いて、「変だけどおしゃれ」で、

「まとまりがないけどハマッてる」と言う様な、

相反するものの共存を目指した。

秘匿され美徳とされる様な。

 

ユイさんには「思いっきりやってくれ」と伝え、

メイク、特にステージメイクと言ったものには明るくないので、

イメージ画像を何枚か投げた。

あとは言葉でイメージを共有し、

配色や濃さなどの設定。

当日も仕上がりを見つつ調整していました。

 

場所も良かった。

このMVを形作っているのはメイクとロケーションだ。

ひとつひとつが繊細に、大胆に、乱雑に、しかし整然と並んでいる。

これも相反して。

 

冒頭は男女の絡み合う絵に、怪しい影が重なる。

そして現れるのは島田くん。

このMVのキーは島田くんだと思ってる。

とにかく表情が良いんだ。

主人公という訳ではないが、

島田くんの怪しさ、不気味さが秋山くんの「何かを企んでいる謎の何か」を引き立たせている。

 

彼らは誘っているのだ。

隙あらば「あちら側」に引きずり込もうとしているのだ。

 

MVには「錯視」模様を部分部分に取り入れた。

静止画なのに動いて見えたり歪んで見える模様。

 

紫と緑の歌詞色は補色(反対色)。

これも相反している。

 

とにかく怪しい雰囲気、サイケデリックな配色、

何処かセクシーで不気味なイメージに終始した。

 

2人がソファに座っているシーンの壁にある、

セーラー服に「自由」と刺繍されたイラストは、

お借りしたバーにたまたまあり、個人的に入れたかったもの。

AKIRAの作者、大友克洋さんの息子、大友昇平さんのイラスト「つむじ風」だ。

個人的な趣向であり、楽曲とは関係ないんですが、

そう言ったちぐはぐさも良いかなと思って。

 

1番まで観て頂いたら何となく感じると思うのですが、

そもそも破綻してるんですよ、この映像。

何処がどう…ってハッキリ理解出来る様にはしていませんが、

常に違和感を感じる様にしています。

画角にしても、「もう少し下まで映したら?」「もう少し上じゃない?」
「中心ズレてない?」「斜めじゃない?」

って思う人もいるでしょう。

色に関しても、少しずつ変な色にしています。

島田くんの帽子、実際は何色なのか。

壁の色は?ライトの色は?

画角にしても色にしても、基準を曖昧にしています。

そこに言い表せない気持ち悪さを感じる。

(とは言えやり過ぎない様にしました笑)

 

2番のAメロは、島田くんと秋山くんのシーンを本来の逆にしました。

秋山くんが歌っている所で島田くん、歌ってない所で秋山くん。

そして島田くんの表情最高!

 

これは島田くんから絶賛されたポイントなんですが、

間奏の所、秋山くんが何かブツブツ呟いてます。

撮影の時に「何かここもっと不気味にしたいな~」と思い、

秋山くんに「正当防衛」のサビを歌ってもらいました。

 

その後、歌詞の1行目、3行目が白い文字になります。

これは「白=空白」です。

心の隙間というか、空虚な感情というか。

そんな虚しさを表しました。

そういう感情って、意外とハッキリ見えちゃうんですよね。

 

ラストのサビ前の秋山くんの珈琲(?)飲んでの

「はあーーーーーっ」とピンク色の煙を吐くとこ、良いですよね(笑)

 

ラストのサビの導入部分、歌詞がフワッと揺れます。

ここ好きーーー(笑)

浮遊感ですね。

エクスタシーも相まって、恍惚とした、腰が浮く様な感覚を表現しました。

 

ラストのサビは映像でも畳み掛けようと思ったんですが、

いつもより落ち着いています。

こういう悪魔というか妖精というか、そんな存在って、あまり荒ぶらない気がして。

淡々と、でも確実に引き込まれていく。そんなイメージ。

ラストは秋山くんの言葉と共に、島田くんに引きずり込まれて行きます。

 

さて、繋がりなど隠し要素の解説に参りましょう。

これは気付いてるのかな~?

「正当防衛」から繋がっています。

先ずは2人並んでの演奏シーン。

歌詞に隠れて判りにくいかも知れませんが、

島田くんの左側に、「正当防衛」のカフェにあった

「BANANAMAN」という絵本が置いてあります。

実はこれ、「正当防衛」撮影の時に

「この絵本は雰囲気に合わないから撮影の時には外そう」と思ってたのですが、

忘れててそのまま撮っちゃったんですよね(笑)

どうせなら、ってことで「愛は~」に繋げました(笑)

「愛は~」の雰囲気には合う合う(笑)

 

このカットで、プロジェクターから出ている映像が

「Stars」のものに見えますが、

このバーで普段から流しているものです(笑)

あとはミラーボールの光。

「星空に見えるな~~~」と思ってました(笑)

 

そしてソファに座ってるシーン。

こちらも左側に女性の絵が置いてあります。

これは「正当防衛」のタイトルが出た次のカットで映っている絵ですね。

後から知ったんですがこれ、レコードだと思ってたらカレンダーらしいです(笑)

 

ソファで秋山くんが持ってる珈琲カップ、

中に何が入ってるかは判りませんが、

このカップ実は、「正当防衛」のカフェのカップなんです。

 

「愛はミステリー」は以上でしょうか。

 

さあ、遂にラスト。

4作目です。

一旦伸びをしましょう。身体ほぐして。

長くてすいません。

 

「あなたがいるから、あなたがいるなら」に関しては、

そこまで長くならないんじゃないかなあ。

 

楽曲をもらった時、やっぱり「優しいなあ!」と思いました(笑)

穏やかな日々を流れるままに添い歌う。

人生や愛を感じました。

 

この曲も、イメージを持って来たのは秋山くん。

「粘土が形を変えていくイメージ。」だそう。

色々考えてクレイアニメの「ピングー」みたいな、

少しずつ粘土の形を変えて写真を撮って、映像にしようか……

とか考えてましたが、秋山くんから

「こんな方がいるらしい!!」とURLが送られて来ました。

見てみると、粘土を使って花などのアート作品を作る、

「クレイアート」のアーティスト、いのうえさん。

なるほど、こういうイメージなのか。

と思ってると、「まさにこういうイメージです!」と秋山くん。

 

4作目は、淡々と行こうと思っていました。

「繋がり」などは散りばめていくけれど、

主張し過ぎない、シンプルな作品にしたかった。

 

いのうえさん、打ち合わせの時から

感受性も言葉も豊かな方だなあという印象で、

感じた事をしっかりと声にしてくれる方でした。

お店にあった沢山の花、綺麗でした。

いのうえさんのクレイアートに興味を持たれた方、

お店に行った際には、是非いのうえさんとお話ししてみてほしい。

 

そんないのうえさんの優しい手で、千切られたりこねられる粘土。

何を作っているのか、段々と見えてくる。

真っ白な粘土には実は綺麗な色があって。

穏やかに過ごす日常と、ちょっとしたサプライズ。

日々ってこんな感じかなあと思いながら撮影しました。

 

個人的に「凄いなあ」と思ったのは、

花びらの質感が凄く本物っぽいんですが、

その質感を表現しているのは、

いのうえさんの、人間の掌紋なんですよね。

生命が息衝く紋様。

 

映像のスピードも、スローだったり早回しだったり。

人生ってそうだなと。

映像は粘土から1輪の花が出来上がるものですが、

例えばそれを「一生」と重ねてみたり、

「歴史」と重ねてみたり。

観る方のイメージで表情は変わるかな。

楽しい時間があっという間だったり、

待ち遠しい時間はなかなか過ぎなかったり。

大袈裟ですけど、相対性理論をイメージしながら編集していました。

 

歌詞は、元々考えていた原稿用紙の様な、便箋の様な表記で、

文節毎に段落を分けています。

曲を聴いて、歌詞を読んだ時に

日記の様な、手紙の様な印象があったので、

上手くはまりました。

この曲がラストで良かった……

 

フォントもかなり迷いました。

手書きが良いなと思っていたんですが、

なかなか綺麗な手書きフォントってないんですよね。

 

そして繋がり。

先ほども言いましたが、主張し過ぎず行こうと思っていました。

 

粘土で「Stars」の星を、

「正当防衛」のカップを、

「愛は~」のステッキを作ってもらい、

こねてまた形が無くなり、

最終的に花になる。

というイメージをしていたんですが、

撮影直前の打ち合わせで「そんなに色々作ると、曲のイメージを邪魔しませんか?」

と言われ、はっとして、その案は却下しました(笑)

「繋がり」を意識し過ぎて、このMV単体でどう見えるかが少し抜けてた。

本当に淡々と作っていく。

 

 

歌詞表記。

冒頭で1本だった線が、2本になり、横に3本線が入ってマス目が出来る。

「Stars」から「正当防衛」、「愛はミステリー」(歌詞横書き)へと変化し、

マス目に変わっていく。

今までの3作を踏襲する形になりました。

最初は別のシーンにもっと判りやすく使っていたんですが、

「このMVだけ観た人には何なのかわからない」と島田くんに言われ、

「確かに……」と思い、秋山くんの提案で冒頭に移動しました。

ここも「繋がり」を意識し過ぎた故。

3人で作ってるなあ。

 

上ではなく前から撮っているシーンで、とても判りにくいですが

後ろにぼんやりと「愛は~」で使用したステッキが写っています。

これも「愛は~」からの繋がりです。

「愛は~」からの繋がりは本当にこのくらい。

 

 

そして、このブログの序盤でも言っていましたが、

hommeも知らないサプライズをご用意しております。

勿体つけてすいません(笑)

 

4作目を原稿用紙風にするのは、「Stars」の撮影の時から決めていました。

どんな曲調であれ、可能な限り原稿用紙にする・と。

それを思い付いたのは「Stars」撮影時。

撮影時にふと見た窓の外の風景。

それが4作の流れを思い付いた瞬間。

 

 

 

 

 

「Stars」のMV冒頭6秒。

 

 

 

 

 

ご覧頂いた方、何か気付きませんか?

本来なら入れなくて良い…homme2人から始めればいいのですが、

敢えて最初の6秒だけ、ベランダの柵を入れました。

これには2つ意味があります。

1つは光の当たっている柵の本数。

10本に光が当たる様にしています。

10本のライン。

「Stars」の1。

「正当防衛」の2。

「愛はミステリー」の3。

そして「あなたがいるから、あなたがいるなら」の4。

1+2+3+4で、10本の線になります。

柵10本に光が当たる様にプロジェクターを調整するの、

苦労しました(若干他の部分にも当たってるのはご愛嬌)

 

そしてこの柵、何かに見えませんか?

原稿用紙をイメージしています。

 

「Stars」撮影時に、ふとこの柵を見つけた時、

「原稿用紙みたいだな」と思いました。

当初「4作で1本ずつ歌詞部分の線が増える」と予定していたのですが、

これをみて「4作目は原稿用紙にしよう。四角が線4本で、それをマス目として原稿用紙に。」

と決めました。

 

ここで、「Stars」の歌詞に戻ります。

「永遠はない 終わりは始まり」

終わりである4作目は、始まりである1作目に繋がる様にしました。

4作目の原稿用紙が、1作目に帰ってくる。

そんなイメージです。
(奇しくも前回のブログのタイトルと反しているけど笑)

 

これはhommeにも言いたくなかった(笑)

このブログを読んでびっくりしてくれるかな~と思ったり、

意外と反応薄かったらどうしようと思ったり(笑)

「4作目どうしようかな~」なんて白々しく言ったりしてね(笑)

 

 

以上が、

homme 4ヶ月連続デジタルリリース

4曲のミュージックビデオの話。

4ヶ月に亘る、俺のささやかな企みの話。

 

長々と、稚拙な文章を読んで頂いてありがとうございました。

それでは、また何かの機会にお会い致しましょう。

 

ystk