問題の扉は更に恐ろしいことになっていた
2日目の今日は昼から家族出かける用事があったので、朝、久留米市(旧田主丸町)の寺徳古墳だけに行ってきましたが、思わぬ収穫が満載で、短いながらも充実した探訪になりました。
早くから家を出たおかげで、公開開始前の8時50分頃に1番手で現地に着きました。しかし、色々と準備はしてあるようなのですが、案内の人が一人もいません。
そのうちに誰か来るだろうとずっと待っていましたが、9時を過ぎても誰も現れません。日程を確認しても間違いないので不安になった頃に、昨日塚花塚でご案内頂いた文化財課の方が見えました。
バールが無くなって取りに帰っていたそうです。何故「バール」が必要なのでしょうか? この古墳の以前のレポートを覚えていますか? そこにも書いていましたが、以前から大変だった入り口扉の開閉が現在では更に悪くなり、バールが無いと開けられないのだそうです。
確かにその方が一生懸命にバールを差し込んでも本当に開きません。手伝わなくてはいけないかなと思った時、大きな音と共にやっと開きました。
左:乾きすぎて文様が判別しづらい奥壁
右:以前の面影もない前室左壁。前のレポート写真と比べて下さい。
そんな訳で、ようやく中に入って壁画と対面しましたが、やっぱり今年も壁面はカラカラに乾いて最悪のコンデションでした。
しかし、他に誰も見学者がやってこない中で、じっくりと壁画を観察するかたわら、文化財課の人から大変興味深い様々な情報を聞くことが出来ました。その人が語ってくれたのは近辺の装飾古墳に関する多数の新発見でした
まず、寺徳古墳は従来、赤と緑の2色が用いられていると言われてきましたが、よく調査した結果、同心円の塗り残しと思われていた部分に、第3の色として茶色が確認出来たと言うことでした。この茶色は赤色と同じベンガラですが、純度が異なるために茶色に見えるそうです
さらに、草野の下馬場古墳も同様に赤と青だけでなく茶色の3色が用いられていることも確認されたそうです。どれかの資料に寺徳古墳に黄色が使われていると書かれていたのは間違いでなかったのでした。
左:奥壁同心円のアップ、一見色がないように見える部分に茶色を確認出来るだろうか?
それを聞いた後で文様を凝視すると、確かに茶色の顔料があるように見えてきましたが、なにぶん条件が悪くて残念でした。
左:中原狐塚古墳奥壁同心円文の復元図
実はこれらは、直ぐ近くにある中原狐塚古墳の詳細な調査の過程で判明したそうです。中原狐塚は最近までは放置され、色も赤と緑の2色と言われていましたが、調査の結果、赤青緑茶の4色を用い、同心円と靫だけでなく、人物や器物、舟が多数描かれた複雑な装飾文様を持つことが判明したそうです。
そこで近くの装飾古墳を詳しく再調査して、今までの事実が明らかになったそうで、遺跡調査のロマンを感じさせてくれる感動的なエピソードです。
付け加えるならば、中原狐塚の同心円文は、掲載した復元図のように点描を沢山散りばめた大変緻密な構造をしているそうで、以前訪れた時、暗い中であまりよく観察出来なかったことが残念でなりません。さらに下馬場古墳の同心円も同様に点描が着いているそうですが、ここ寺徳の同心円に点描は無いそうです。
3年くらい前に中原狐塚が一般公開された時、私は知らずに見学出来なくて、大変残念なことをしました。行かれた方はそのときの情報を教えて頂くと有り難いのですが。
話を聞いて、下馬場古墳も行きたくなりましたが、時間が無くなって諦めました。こちらも行かれた方は情報が欲しいです。
何か、これからは久留米市の装飾古墳に目が離せなくなりそうな雰囲気です。もっと詳しいレポートは今後古墳別に特集しますので、今日はこれくらいで終わります。