それ行け「イーゴリ公」 | 明るいワラビネーゼの生活

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自称ご近所に住む漫画家北川玲子/きたがわれいこが、毎日のちょっとした出来事や楽しみごとを書いて見ました。
週末は長年習っている大人のクラシックバレエのことを4コマ漫画にしてアップしています。

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初めて見に行った「イーゴリ公」の
「だったん人の踊り」の踊りのシーンは
ほんとうにすばらしかったです。

カンのいい人なら、わかると思うんですが
世界的に有名は指揮者が指揮する
世界的に有名なオペラ劇場のオペラは
2階席の後ろといえど、
そーとーな金額なわけで

たぶん
きたがわが人生で
払ったチケット代の最高金額でしょう

その曲で
一幕目が終わり
休憩時間にロビー出て
きたがわがソファーに座っていると

そばで
40代ぐらいのオペラ通らしい男性が
つれの若者ふたりにいろいろ
うんちくを語っているんですが

「もう見せ場終わったから、
後半はもう見どころないから
まあ、合唱の迫力はあるけどね」
と、こともなげに言うのです

(ええっ、まだ半分あるのに?)


その言葉はまさにそのとおり
でした

「イーゴリ公」て
「だったん人の踊り」以外
見せ場がないんですよね

有名なアリアもない
(曲はきれいなんですが)


しかし
きたがわが驚いたのは
ラストシーン

「こんなのあり!?!?!?」

それは
たとえて言えば

まんが家がお話作るとき
とりあえず、ページあわせしたら
(ページ足りなくなっちゃたな)
みたいな終わり方で


感動したとか、しなかったとか
そういうレベルではなく

これで
終わりなの?

っていう
なんとも尻切れとんぼな
終わり方だったんですよ。
(大枚払ったのに!!)



たまたま同じ日に見に来ていた
バレエ教室で知り合った
オペラ歌手の女性に
その疑問をぶつけると


「イーゴリ公」がスコアがばらばらな
未完成のオペラであることと
その都度
構成がちがうこと

その公演では
指揮者が直前でドラマの構成を変えてしまって
ああなってしまった
と、説明してくれました


そんなわけで
納得できる「イーゴリ公」を見たいと
また何年か前
きたがわが会員になっている
武蔵野文化会館で
ウクライナ国立劇場が
「イーゴリ公」をやるので
見に行ったら

これがとても面白かった!!

どれぐらい
おもしろかったかというと

芝居が終わってロビーに出る時
通っぽい老紳士が
「こんなおもしろいのは初めて見た!!
オペラは値段じゃない!!」
とつれのひとに
熱く語っていましたね。

(武蔵野文化会館て、外国のオペラがとても
安い価格で見られるのです。

でもこの人も、きたがわと同じ
ゲルギエ○の「イーゴリー公」見たのかな?)


なぜ面白かったかは
お話しを作る漫画家目線で
説明できます

キャラクターが立っていたといいますか

悪役のガリッキー公がなんだかイケメンで
色気のある悪の魅力をふりまいて
イーゴリ公はまじめな人

キャラクターがはっきりして魅力的だと
歌う歌も、魅力的に聞こえるんでしょうね

カットする部分はカットして
ちょっとコメディっぽい要素と反戦っぽい要素など
現代人が共感するようなテーマを盛り込み
最後までひっぱたというか


お話ってちょっとした工夫で
おもしろくなるもんなんですよね


というわけで
3度目の「イーゴリ公」はどうなの?

ようやく今回の
ブルガリア国立劇場の感想を語ると

う~ん

そんなに冒険も野心的な演出もないです


ラストに見せ場の「だったん人の踊り」を持ってくるんですが

たしかに盛り上がったけど
この曲はイーゴリ公を捕らえた
ホロビッツ人の長をたたえる歌なので
和平の象徴の歌にするは、ちょっと無理があるような・・・

でも曲はほんとうにきれいですばらしいんですよ
プロローグの合唱もエキゾチックで
東欧という感じがします


しかし
4度目の「イーゴリ公」はあるかな?
きたがわ


帰りは上野のガード下の
スペインバルでワインとパエリア

でも写真は撮り忘れたのでありません

(こんな終わりでごめんなさい)