今、卒業というと「前田敦子AKB48卒業」なのだろうが、それは置いておくとして、東京FMを聴いているとこの時期は卒業ソングがよくかかる。

数多くある卒業ソングの中で一番思い出深い曲は何ですか?

そう聞かれたら自分は柏原芳恵の「春なのに」と答える。

高校を卒業したときに、歌詞にあるような思いを彼女にさせてしまったな~、と気がついたのは大学に入りしばらくたってからだった。

当時は父親の仕事で北陸地方にいた。最大の目標は大学受験。将来の人生が掛かっていた岐路である。地元で進学することは選択肢にはなかった。

そのときの彼女は中学の時の同級生。違う高校に通っていた。高校3年生になると自分は地元を離れる決心を告げたが、彼女は黙って応援してくれて辛い受験勉強中、よく励ましてくれた。

だが、志望校の受験には失敗。滑り止めの関関同立はクリアしていたが、親が許さず浪人することに、しかも東京の予備校に行くことになった。

地元から離れるとき、彼女が電車を見送りに来てくれた。「ボタンくれる?」と言われた。


予備校の寮に入ってからは毎日15時間は勉強した。先行きがわからない不安から死に物狂いで勉強した。

それから何度か手紙のやり取りをしていたが、やがて途絶えて自然消滅した。

頑張った甲斐あって翌年の受験は成功した。正確に言うと第一志望の京大は落ちたが、滑り止めの早慶立教はクリアして無事に北海道に行くことができた。

彼女の気持ちはどうだったのかな、それに気がついたのは大学に入ってからだった。きっとボタンは捨てたのだろう。「春なのに」を聴くといつもその彼女のことを思い出す。


今年の夏の中学同窓会。サイトの出欠簿にはまだ彼女の名前はない。

音符音符音符音符音符音符音符音符音符音符
春なのに/柏原芳恵
作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

卒業だけが理由でしょうか
会えなくなるねと右手を出して
さみしくなるよそれだけですか
むこうで友達呼んでますね
流れる季節たちをほほえみで
送りたいけれど
春なのにお別れですか
春なのに涙がこぼれます
春なのに春なのに
ため息またひとつ

卒業しても白い喫茶店
今までどおりに会えますねと
君の話はなんだったのと
きかれるまでは言う気でした
記念にくださいボタンをひとつ
青い空に捨てます
春なのにお別れですか
春なのに涙がこぼれます
春なのに春なのに
ため息またひとつ

記念にくださいボタンをひとつ
青い空に捨てます
春なのにお別れですか
春なのに涙がこぼれます
春なのに春なのに
ため息またひとつ