和田礼治郎

 

なんか、ミス・ブランチみたいだったなー。

 

 

「遠距離現在」展。

 

 

9人の現代作家展で、ダントツで超よかったのが、

 

徐冰(シュ・ビン)「とんぼの眼」

 

という、81分の、徐冰(シュ・ビン)初めての映像作品でした。

 

徐の初の映像作品《とんぼの眼》(2017年)は、

チンティンという女性と、彼女に片思いする男性、クー・ファンの切ないラブストーリーが語らているんです。

 

しかし、なんと!この映画に役者やカメラマンは存在しない!しかも、演技さえもない。

 

役者やカメラマンなどのギャラはゼロ!

 

全ての場面が、ネット上に公開されている監視カメラの映像のつなぎ合わせなんです!

 

徐と彼の制作チームは、20台のコンピューターを使って約11,000時間分の映像をダウンロードし、若い男女を主人公にした物語に合わせて編集したんです。

 

これ、監視カメラの映像だから、そこに演技はない、ある意味、超リアル。

まさに、現代社会のすっぴんの映像。

 

監視カメラの映像をつなぎ合わせて編集し、そこにナレーションつけただけなんだけど、ちゃんとラブストーリーになっている!!

 

驚愕しました。

 

ところどころに、監視カメラならではの、衝撃映像や、リアルなクレーマーの姿などが盛り込まれていて、81分の映像全く飽きることがない。

 

映像アート作品って、結構退屈だったり、尺が長くて飽きてしまうこともあるけど、これほど面白く、全く飽きさせない映像アート作品初めて見ました。

 

色んな人の映像つなぎ合わせているので、主人公の二人も、実は映っているのは全く違う沢山の人の映像だったりするんだけど、全く違和感がない。見事にちゃんとドラマになっている。

 

車のドライブレコーダー映像も、マジリアル。

 

シナリオに合わせて、ロケ地を探すのが、ロケハンですが、

 

ロケ場所に合わせて、シナリオを作っていくことを、シナリオハンティングといいますが、

 

この作品は、まさに、監視カメラの映像を元にシナリオを作っていくという、映像アートの新ジャンル!

 

素晴らしすぎました。