千葉市美術館で開催中の
「サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展」へ行って来ました。
https://www.ccma-net.jp/
こちらの、青い日記帳さんに、とてもよく紹介されています。
江戸中期-後期の浮世絵師・鳥文斎栄之(ちょうぶんさい・えいし1756-1829)の日本のみならず世界初となる大規模個展です。
鳥文斎栄之(本名、細田時富)は、幕府の勘定奉行の長男として江戸に生れ、五百石取りの旗本という異色の経歴の持ち主で、栄之の画名は、将軍徳川家治より賜ったものだそうです。
初め狩野典信(栄川院)について学び、天明年間(1781-89)より、鳥文斎と号して浮世絵に専念しました。
正直、浮世絵は、結構苦手な方のアートジャンルなんですが、とにかく、旗本出身ということで、特別扱いされていたようで、高価な絵具を用いており、色合いや発色もとても美しいし、画題もとにかく、品がいい。
純度の高い紅を用い、雲母や真鍮、空摺といった技巧を凝らした錦絵は一枚一枚見応え十分でした。
武家や上流階級向けの購買層を狙っているって言うのがよくわかりました。
まー、品がよく、そして、線がきれいなのに驚きました。
肉筆画は特に良かったですねー。
七福神の恵比寿と大黒天、寿老人の三人が、隅田川をさかのぼり意気揚々と吉原を目指す行程を描いた「三福神吉原通い図巻」は素晴らしかったです。
鳥文斎栄之「三福神吉原通い図巻」絹本着色 1804-18年頃
千葉市美術館蔵
千葉市美術館蔵なんだ、すげーの持ってるよなー。
紅をそれほどつかわず、紫絵を多く描いたようです。
「紅嫌い」とは、華やかな錦絵にあって敢えて紅などの華美な色彩を用いず、茶や紫、薄墨など地味な色を中心に摺られた作品のことです。
鳥文斎栄之「風流やつし源氏 須磨」1787-88年
山口県立萩美術館・浦上記念館蔵 フェリックス・チコチン旧蔵
「紅嫌い」の中にはこのように、ほとんどモノクロのような作品もありました。
華やかな衣装が魅力のひとつである美人画で敢えて色調をおさえることで独自世界を作り上げています。
蔦屋ー喜多川歌麿
西村屋ー鳥居清長そして、鳥文斎栄之
一番気に入った作品は、この、六歌仙・小野小町でした。
鳥文斎栄之「六歌仙 小野小町」1793-94年頃か
大英博物館 アーサー・モリソン旧蔵
これ、絵葉書欲しかったけど、なかったです。
寛政の改革後、1798年頃から錦絵ではなく、肉筆画に専念するようになります。
これも栄之の家柄ゆえか、安く大量に売りさばくのではなく、一点物を上流階級や知識人向けに描くことにシフトチェンジしたのでしょう。
このなかで良かったのは、これ。
鳥文斎栄之「和漢美人図屏風」絹本着色
個人蔵
日本と中国の伝説の美人を3人ずつ交互に配した屏風。小野小町、王昭君、清少納言、楊貴妃、紫式部、趙飛燕が描かれています。
いや~見事。
今回新発見され、初公開となる目玉作品のひとつです。
【参考】
鈴木春信(1725-1770)
礒田湖龍斎(1735-1790)
北尾重政(1739-1820)
大田南畝(1749-1823)
鳥居清長(1752-1815)
喜多川歌麿(1753-1806)
鳥文斎栄之(1756-1829)
葛飾北斎(1760-1849) 北斎ムロシク
酒井抱一(1761-1829)
歌川豊国(1769-1825)