「平和の場面」
「戦争の場面」
今から約5000年前、エジプト文明とほぼ同時期に、ティグリス川とユーフラテス川に囲まれた地域に、人類最初の文明、メソポタミア文明が始まりましたね。
その基礎を築いたのは、紀元前4000年ころからの、シューメール人だと言われています。
白い神殿や、<魂の窓>と言われる、目を大きく見開いた石像彫刻が残されています。
シュメール人の次に、アッカド人が支配し、
アッカド王の頭部や、「翼のあるヤギ」、
世界最古の戦争の勝利を祝った記念碑、「ナラム・シンの石碑」などが残されていますし、
有名な、「ハンムラビ法典碑」もメソポタミア文明の時ですね。
さて、「ウルのスタンダード」
ウルのスタンダードは、紀元前2500年ごろのシュメールの古代都市ウルの遺跡から出土した工芸品です。ウルでは、シュメール人が公案した楔形文字が使用されていたんですね。
発見者であるイギリスの考古学者レオナード・ウーリーの説にしたがって「スタンダード(Standard、旗章、軍旗)」と呼ばれていますが、その実際の用途は明らかになっていないそうです。
高さ21.6cm、幅49.5cm、奥行4.5cmの横長の箱で、前後左右それぞの面にラピスラズリ、赤色石灰岩、貝殻などを瀝青(ビチューメン)で固着したモザイクが施されています。
大きな面の一方には戦車(チャリオット)と歩兵を従えたウルの王が敵を打ち負かす「戦争の場面」、その反対側の面には山羊や羊、穀物の袋などの貢納品が運ばれ王と家臣が宴会を楽しむ「平和の場面」(「饗宴の場面」)が描かれています。
大英博物館に所蔵されているシュメールの代表的な美術工芸品です。