カシミール・マレーヴィッチ(1878~1935)は、「絵画は誕生していらい、対象物に縛られることで不自由さを余儀なくされている」と考えていた。そして、対象物に一切縛られないようすべてを排除して対象をなくした。かれのこの考えは、「シュプレマティスム」と名付けられている。シュプレマ
ティスムとは、「絶対主義」とか、「至高主義」と訳されている。
シュプレマティズムでは、芸術の自由と自立性を目指し、対象物を描きません。対象物を描くという制約から解き放たれた絵画は絶対的自由を獲得します。このような絵画を「無対象絵画」と呼びます。
「無対象絵画」は、意味を徹底的に排除し、純粋に「感覚」のみを追求した抽象的作品であり、抽象絵画のひとつの到達点であると考えられています。
マレーヴィチは、シャガールとも派閥争いを繰り返し、シャガールをロシアから追い出したりもしているですね。
マレービッチがでてきたのは、ロマノフ王朝を倒したロシア革命直後。
新たなユートピアが幕を開ける時代において、芸術においてもすべての既存のものを一新する理念が必要だと彼は考えていた。
しかし前衛芸術家たちは、やがてスターリンの登場と粛清により一掃されることになる。
理想を打ち破られたマレーヴィッチは晩年、具象画に戻ったそうです。
それはいかにも政府が喜びそうな、田園風景を写し取ったものだったそうだ。
至高の美を追い求めた彼が、最終的に印象派を思わせる具象的な風景がに落ち着いたというのは、なんとも考えさせられますね。
一体どんな思いで、その具象画を描いていたのでしょうね。
モディリアーニは、抽象画に否定的で、「抽象は人を疲れさせ、だめにする。袋小路だ」との言葉を残していますが、もしかしたら、マレーヴィッチも抽象の世界で疲れてしまっていたのかもしれません。
僕は、チェーン店って、抽象の世界だと思う。そこに生き生きとした人間はいない。
個人店は、具象の世界。チェーン店は人の心を疲れさせると思う。
効率は良くても。
今や絶滅危惧店となった、個人経営飲食店のわらべも、ここでなんとか生き残ることができれば、その先には、絶対抽象の世界で、心を疲れさせた人々の救いになれると信じて営業続けています。
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