「ロシア絵画の至宝展ー国立ロシア美術館所蔵」 東京富士美術館
に行ってきました。
bunkamuraザ・ミュージアムの「ロマンティックロシア展」に続いて二日連続でロシア三昧です。
東京富士美術館自体は、東山魁夷展につづき二回目です。
そこで、僕が気に入った作品ベスト12を紹介しています。
いよいよベスト5の発表です!
第5位 6 イワン・アイヴァゾフスキー 「海辺の朝、スダック」 (1856)
アイヴァゾフスキー作品は、昨日今日で5作品見ましたが、どれも素晴らしかった。
この作品も、わちゃー!画像では全くわかりませんが、本当に綺麗。
今回のロシア絵画展、二日鑑賞で、一番気に入ったのは、やっぱりアイヴァゾフスキーだと思います。
第4位 27 イリヤ・レーピン 「サトコ」 (1876)
ミュシャの「スラブ叙事詩」を思わせるこの作品。
海の国で、気に入られ、沢山の綺麗な女性を紹介されるが
商人のサトコ(右の男性)、次々現れる綺麗な女性より、やっぱり左上にいるロシアの女性に一番惹かれてしまう。
色んな国の料理を食べても、最初は物珍しさで色んなものに目移りするが、やっぱり一番いいのは、子供のころから親しんでいる懐かしの味に惹かれてしまう。
料理で、うま味とか、辛みとか、5つの味があるけど、一番大事なのは、母親の味というか、昔からなじんでいる「懐かし味」。
僕には、左上の地味だけど、暗くて目立たないけど、でも、サトコの目をくぎ付けにしているロシアの女性が、「わらべ」に見える。
街には、沢山、新しいおしゃれな、流行に乗ったお店がどんどんできる。
そんな中で、長年街で営業を続けている「わらべ」も、どんどん目立たなくなって暗くなっていく。
でも、「わらべ」は、街がどんどん明るく新しくなって、おしゃれになっても、これからも変わらないぜ。
だって、気が付いたかい?次々現れる綺麗な女性たちは、誰もサトコのことなど見ていないってことを。
サトコの心に寄り添おうなんて思ってもいないし、サトコのために尽くそうなんて思ってもいない。
外見がちょっとよくて、目新しいからと言って、そんなお店に飛びついても、大事にされないかもよ。
サトコは、ちゃんとわかっている。だから、地味なロシアの女性とだけは、ちゃんと目線があっている。
「わらべ」もこれからも、地域住民と視線を合わせた経営を続けて行こうと思う。
第3位 29 アブラム・アルヒーポフ 「ヴォルガ川にて」 (1889)
昨日見て凄く良かった、「帰り道」を描いたアルヒーポフの作品ですね。
「帰り道」(1896)
東京美術学校が開校された年に、こんな素敵な作品を描いていたんですね。
いやー、アルヒーポフ、いいね~~。
僕は、この作品を見て、山口百恵の「いい日旅立ち」を感じました。
ヴォルガ川をじっと見つめながらアコーディオンを弾いてるこの若者。
「ああ~~♪ ロシアのどこかに~~♪ 私を待ってる~♪ 人がいる~~♪」
多分、ロシアのどこかで、この若者と同じ時間に、こう歌っている女性がいるはず。
きっと場所は離れていても、この二人は繋がっている。
そして、きっとその女性には、この若者のアコーディオンが聴こえているはず。
たまんないね。なんてロマンチックなんだ。大好きです。
第2位 17 アレクセイ・サヴラーソフ 「沼地に沈む夕日」 (1871)
いやー、昨日見たアレクセイ・サヴラーソフ作品も良かったけど、これもすこぶるよかった。
僕がこの作品を見て、真っ先に感じたのは、
五姓田義松の、死ぬ寸前の母を描いた、「老母図」(1875)です。
夕日が沈む瞬間。
夕日が沈むのを眺めたことある人はわかると思うけど、夕日はゆっくりゆっくり沈んでいくけど、最後の最後沈む瞬間って、物凄く早く感じるんだよね。
夕日が沈むのって、人が死ぬ瞬間のよう。そしてその瞬間に人生の集大成が出る。
強い光ではないが、この死ぬ瞬間、夕日が沈む瞬間に、その瞬間にしか出せない美を放つ。
それまでの人生でやってきたことすべてが表れるのかもしれない。
僕自身は、死ぬこと自体は怖くない。
ただ、生きているうちに、死んだような人生だったら、そんな状況での死なんて迎えたくない。
しっかり生きて、もう満足だっていう状態で死にたい。
「笑って死ねる人生、それさえあればいい。」
笑って死ねる状況であれば、死ぬ寸前、この夕日のように美しく輝けるはず。
五姓田義松の母のように、残されたものに強い何かを残して死んでいけるはず。
そろそろ、どうやって生きて行こうかより、どうやって死んでいこうかを考える時期に来ている。
俺にしか放てない光を、より美しく放って死んでいけるように、これからも悔いのない人生をしっかり生きて行こうと思う。
さてさて、沢山の素晴らしい作品たちの中、やっぱり、やっぱり第一位はこれでしょうね。
第1位 5 イワン・アイヴァゾフスキー 「第九の怒涛」 (1850)
本物は本当にでかく、飛び出てくるようで、実に美しく圧倒されました。
まさに名画中の名画でしょうね。
この荒れた海の中、必死に生き延びようとする人たち。
なんとも厳しい自然の、なんとも苦しいシーンを描いているのに、場面は、なんとも美しい。
こんな厳しいシーンなのに、こんなにも美しいのはなぜか?
僕には、この厳しい荒波も、実は神様が、人間たちにわざと試練を与え、それを乗り越えて強くなれという優しいプレゼントのように思えます。
厳しい試練の中、必死に生き延びようと戦う人間たちを、天の上から、優しい光で見守っている。
海の水も澄み切っていて、そこに悪意はない。人間たちを苦しめて殺してしまえというような悪意は全く感じない。
むしろ、厳しい試練に真正面からぶつかってこいという、師匠のような優しさを感じる。
いつも言うけど、江原啓之さんがおっしゃるように、「この世の中は、魂のトレーニングジム。魂は、魂を強く鍛えるために、わざわざこの世に、肉体というものを持って、厳しい試練を経験しに降りてきている」
この試練を乗り越えたら、もっと強くたくましくなれるぞ、もっと頑張れ!ってこの天からの光が言っているよう。
厳しい試練は、神様の優しさ。だからこそ、こんなに美しい場面に描かれているのだと思う。
いやー、しびれました。
この二日間、沢山ロシア絵画の素晴らしい作品に出合いましたが、一番はやっぱりこれですね。
本当に素晴らしかったです。
大大大満足でした。