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弐泊参日で行った、15年ぶり石巻、仙台の旅、その最終日は、


今回の旅で一番楽しみにしていた、始めての宮城県美術館へ。


この日は、特別展で、はじめてのおつかいなどを描いた、「絵本のひきだし 
林明子原画展」をやっていたのですが、

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僕は、こちらの美術館は初めてで、とにかくコレクション展が楽しみでじっく
りそちらを味わいたかったので、

「コレクション展」だけをじっくり楽しみました。

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いや~~~、こちらのコレクション、見どころ満載!


もちろん、宮城ゆかりの佐藤忠良記念館のコレクションも最高に良かったし、

宮城県美術館自慢(?)の、パウル・クレー、ヴァシリー・カンディンスキー
の作品も良かったし、


書き出すときりないけど、

中村彜の「自画像(帽子をかぶる自画像)」(1909)

や、
萬鉄五郎の「自画像」(1915)


も最高!


高松次郎の「ビーナスを見る女の影」(1965)

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佐々木正芳 「ぬぎたいⅡ」(1980)


も超よかった。


そんな中でも、僕がこの日めちゃめちゃ良かったのは、


今回のコレクション展のメインになっている、瑛九と、松本竣介でした



今回のコレクション展のメイン的な展示は、瑛九(1911~1960)で、


宮城県美術館所蔵の


晩年の作品、


「影」(1958)

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が、いちばん最初に展示されていました。


僕は、瑛九についてはあまり知らず、これから知りたいって思っていたところ
ですが、この晩年の作品とてもいいなって思いました。


なんでも、瑛九は、晩年は油彩画に専念して、
「もう一度、印象派からやり直せばならぬ」とおっしゃったそうですね。

この作品からは、病床に伏したもどかしさを感じます。激しいありあまる創造
意欲を感じました。



また、瑛九のフォトデッサンという仕法の作品もよかったです。

フォトデッサンとは、写真のプリントに使う印画紙に切り取った紙や布などを
載せ、光を当てたあとに現像するものらしいですが、とても素敵でした。

瑛九は、「デモクラート美術家協会」というのを立ち上げたそうですが、権威
主義的と思われた公募展に出品しないことが参加の条件だったそうですね。

のちに、その会事態が権威的になりそうで、自ら解散したそうですが、その会
に参加した作家さんたちの作品も紹介されていて、どれも面白かったです。



さてさて、この日、僕が一番感動したのが、画像は見たことあったけど、本物
にまさかここで会えるとは思わなかった、


松本竣介(1912~1948)の「画家の像」(1941)

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でした。


いや~~~これはよかった。空いていてほとんど僕一人だったのですが、この
作品の前だけで1時間近くいました。


まず、本物のでかさに驚きました。


迫力あるし、力強さが凄い。


で、質感ですが、なんというか、

履きならしたビンテージ物のジーパンのようというか、

レトロな年月を重ねた、老舗の喫茶店というか・・・


なんかそんな感じを受けました。

1年や2年でなく、長年にわたって作り上げてきた質感を感じました。


で、この自画像とも言える画家の姿、聴覚を失った松本竣介、僕には、戦争な
ど世の中ざわついている中に会っても、自分は自分がやるべき芸術の世界を何
が起ころうと貫くのだという強い意志を感じました。

老舗の喫茶店が、世の中どう変わろうが、ざわつこうが、やるべきことは、美
味しいしっかりとしたコーヒーを淹れ続けるだけ。

それと同じような静かなる意思をこの画家の姿に感じます。

さて、家族と思われる、妻と娘。


最初、旦那の竣介に対して、不安だったりおびえを感じているのかと思ったの
ですが、・・・


多分そうではなく、ざわつく世間に対しての不安だったり、怯えなんでしょう
ね。

で、そんな不安に思っている妻や娘のためにも、竣介は、よりしっかりとしな
いとと思ったのかもしれません。


すげーかっこいいなーって思い、もう釘付けになってしまいました。


いやー、この作品に今日は大満足でした。


宮城県美術館、他にも素晴らしいコレクションがありそうで、
また次のコレクション展も、来たいなーなんて思いました。



素晴らしいコレクションを堪能し、今回の旅を終えました。


宮城県美術館は、残念ながら、撮影禁止だったので、


お庭の素晴らしい彫刻群の画像でお別れです。


最高でした。


(終わり)

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