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「表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち」 パナソニッ
ク汐留ミュージアム


に行ってきました。

モスクワに生まれ、ミュンヘンで絵画を学んだ、抽象絵画の創始者ヴァシリー
・カンディンスキー(1866-1944)と、20 世紀フランス最大の宗教画家ジョル
ジュ・ルオー(1871-1958)を中心に、

色とかたちを軸として、カンディンスキーを中心とするドイツ表現主義とルオ
ーが共鳴するさまを探る初の試みということです。

アートど素人の勝手な感想です。


ドイツ表現主義のキルヒナーやヘッケルなどの芸術グループ「ブリュッケ」や、
カンディンスキーを中心に、フランツ・マルク、アルフレート・クビーン、ガ
ブリエーレ・ミュンター、アレクセイ・ヤウレンスキーらの「青騎士」らと、
ルオーとの関係・・・正直僕にはよくわからなかったです。

個人的には、ジョルジュ・ルオーはとても好きなので、カンディンスキーもパ
ウル・クレーも、「ああ、いいな」とは感じつつも、ほとんどルオーの作品に
ばかり釘付けされていました。


今回の展覧会、企画した方々の思いを無視するようで申し訳ないのですが、
個人的には、


日本の近代洋画の世界の画家たちの作品を見ると、僕は勝手に、マティスらの
フォービズムの影響が凄く色濃いなーって感じていて、
同じように、ドイツ表現主義や、ルオーも相当日本の近代洋画に影響を与えて
きたんだろうなって憶測していて、その痕跡というか、日本の近代洋画に繋が
るものが発見できないかな??なんて興味で眺めていました。


実際には、特には見つけられなかったのですがもし、マティスらのフォービズ
ムや、ルオーなどが、日本の近代洋画の画家に影響を与えたとしたならば、
それはなぜかってことについて、

僕は、マティスやルオーの作品に、日本プリミティブなものがあまりないから
ではないか?だから凄く新鮮に映ったし、新しさを感じたんではないか?って
思いました。


ジャポニズムが、浮世絵が、印象派の画家たちには、凄く西洋プリミティブに
ないものを発見したのかもしれないし、それを凄く新鮮に感じたのかもしれな
い。

同じように、僕には、今日見たルオーなどの作品には、20世紀の作品なのに、
西洋古来からある、西洋プリミティブみたいなものを感じたんです。
やっぱりキリスト教文化から来るのかな?

そして、そこには、日本プリミティブにはなかったものがあるのでは?って勝
手に素人ながら感じたのです。


たとえば、

ジョルジュ・ルオーの「法廷」

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これなんか、描き方もそうだし、水墨画や、日本画の線画のようなものは全く
なく、塗る絵画のやり方なんかも、日本プリミティブにないものを感じたし、

法廷の冷たく厳しい感じも、今はどうかわからないけど、なんか日本古来のも
のにはなかったもののような感じを受けます。

今見ても凄く新鮮で、刺激的な作品でした。


また、カンディンスキーの初期作品の、「水門」(1902)

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絵の中に引きずり込まれそうな深み。これも日本古来の絵画にはなかった世界
かな?って思いました。

なんか、岸田劉生とか、この作品にも影響されたのかななんて感じたりしまし
た。



さてさて、今日は沢山いい作品観させていただきましたが、やっぱりジョルジ
ュ・ルオーですね。

その中でも僕はやっぱり、キリストを描くルオー作品が大好きです。


イエス・キリストって、キリスト教徒でない僕には、特に好きでも嫌いでもな
く、それほどの親しみを抱いてなかったのですが、ただ、ルオーの描くキリス
トはなんか好きです。

で、最近、「寅さんとイエス」(米田彰男)を知りました。寅さんとイエスっ
て凄い共通点があるという、とても面白い視点で書かれた本ですね。


え?寅さんって誰??という方。  はい、映画「男はつらいよ」の寅さんで
すね。実はこの本、買ってあるのですが、まだ読んでないのですが、

武田鉄矢さんが紹介しているのを聞いて、凄く興味を持ちました。

これ、鉄矢さんの、寅さんの物まねも含めて超面白い内容なので、良かったら
聞いてみてください。



そこには、寅さんとイエスが似ているってことが書かれているのですが、・・
・なるほど確かに似ている。

そして、改めて、今日は、ルオーの描くイエスを、寅さんに見立てて鑑賞した
のですが、・・・・いやー、また別視点でのルオー作品の楽しみが出来ました。

確かに寅さんだわー。


寅さんもイエスも、いつも自分のことより、周りの人たちの幸せを本当に思っ
ていた。
自分が辛いことを引き受けることによって、人を癒したい、慰めたいって思っ
ていた。

「人々を救うために、自分が幸せになってはいけない」とすら思っていたのか
もしれない。


これなんか寅さんの悲哀が伝わってきます。

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だって、ジョルジュ・ルオーの自画像見てよ。

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ジョルジュ・ルオーは、自身の作品と自我とを顕示することに対する疎ましさを告白しているんですよね。

「他のどんな人たちよりも私を無限によく理解してくださる方たちに対してさえ、自己を見せる場合、私は常に裸で、震えているよう気持ちになります。」



・・・・



あ~~~~・・・。   寅さんだね。


そうか、ジョルジュ・ルオー自身が寅さんだったんだね。

だから、ジョルジュ・ルオーの描くイエス・キリストは、寅さんを感じさせてくれるんだね。


なんか納得しました。





僕が最高傑作だと思う、「秋の夜景」も、なんかこの作品見ていると、バック
に「男はつらいよ」のテーマ曲が流れてきそうでした。

この情景も、寅さん映画によく出てくるシーンに似てますよね~~。

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この作品を観ていても、

マドンナたちの、「寅さんって、本当にいい人ね。」というセリフが聞こえて
くるようです。


僕は、キリスト教徒でないし、キリスト教文化で育っていないので、キリスト
教が主題の絵画作品、どうもいままで、いいなとは思っても、実感として心に
染みてくるってことはあまりなかったのですが、

今後、イエス・キリストは、寅さんに似てるってことを考えながら鑑賞したら、
色んな作品の感じ方も変わってくるかな?って思いました。


最後の晩餐もそうですが、イエスも、結構色んな人と会食するのが好きだった
のでは?もしかしたら、本当は、寅さんのように、周りの人を楽しませるのが
好きだったのかもしれません。


今回の展覧会の狙いとは全く違うところで、僕個人的にはとても楽しめた展覧
会でした。

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