「日本画の教科書 東京編 ~大観、春草から土牛、魁夷へ」 山種美術館
を観てきました。
昨年沢山の展覧会に行った中で、僕が一番良かったと思ったのが、「日本画の
教科書 京都編」だったので、今回ものすごく楽しみにしていきました。
ほとんど図録等で見たことある作品なんですが、いやーやっぱり本物は違う。
本物に会えた喜びをひしひし感じました。
それにしても、まさに夢のオールスター戦で、これだけの名作がずらりと並ぶ
と本当に圧巻ですね。
いきなり飛び込んでくる松岡映丘の「春光春衣」・・・いやーなんて豪華で美
しいんだ。
菱田春草の「月四題」、小茂田青樹の「春庭」、橋本明治の「朝陽桜」、川合
玉堂の「早乙女」、小倉遊亀の「涼」、守屋多々志の「慶長施設支倉常長」、
昨日聖徳記念館で、たった一人三作品の壁画を描いたのを見たばかりの小堀鞆
音の「那須宗隆射扇図」・・・・・
いやー、もうキリがないほど凄い作品の連続。圧倒されます。
そんな中で、僕の中でのベスト4は、
第四位 横山大観 「心神」
横山大観って、昔から思っているのは、ジャイアント馬場に似ているなって。
馬場さんのプロレスは、リングの中で、自分は動かず、相手レスラーに馬場さ
んの周りを動きまわさせることによって、リング上の中心はあくまで自分なん
だって言うことを、ファンに見せつけるような動きをするんですが、
この「心神」にも、自分が日本画壇の中心であり、自分が引っ張っていくんだ
というような、気概というか、静かなる闘志を僕は感じました。
我こそ王道なりを、えばるわけでなく、静かに、あくまで静かに穏やかに見せ
つけているような感じを受けました。
まさに馬場さんのプロレスを観ているような気分にさせられました。
第三位 杉山寧 「曜」
これ図録を観た時には感じなかったけど、本物は凄い。なんというか本当に力
強く鶴が飛んでいるようでした。見事です。
双眼鏡を持って行ったのですが、ちょっと離れてこの作品を双眼鏡で覗くと、
ちょっとしたバードウォッチングのようで、また違う楽しみ方が出来ました。
二羽の鶴、とても仲がよさそうで、二羽の鶴の会話まで聞こえてくるようでし
た。
第二位 東山魁夷 「年暮る」
京都の春、夏、秋、冬を描いた4つの作品。
それぞれが美しく、なんか人生を感じました。
若いころも美しいし、青年、壮年になっても、人生のそれぞれの時期に美しさ
はあるし、
そして、なんといっても、晩年、「年暮る」では、長い人生の間、様々な経験
し、色んな辛いこともあったけど、すべていい経験。静かに心穏やかな晩年が
待っているだって、なんか感じさせました。
やっぱり、この作品からも、成仏を感じました。
そして、僕が今日一番良かった、第一位は、
下村観山 「老松白藤」でした。
観山48歳の作品。
松は男、藤は女の象徴ということですが、実にこの松が、僕にとって、年を重
ねた時の理想の男の姿に感じました。
年齢を重ねて、智恵も付き、経験も積んで、何があろうが微動だにしない不動
心を持つにいたる。
そんな存在感のある、強い男の姿に感じました。
そしてその周りには、しなやかで、魅力的な藤、女が取り囲む。
うーん、こんな老境を迎えたいなーなんて見入ってしまいました。
戦後の画壇は、「日展三山」 東山魁夷、杉山寧(やすし)、高山辰雄
院展 安田靫彦、前田青邨(せいそん)
らが引っ張っていくんですね。
いやー本当に素晴らしかったです。
実は、今回の展覧会の前売りチケットもっていたのですが・・・持っていたこ
とをすっかり忘れていて(笑・・・前売り買いすぎていてたまにやってしまう)、チケット買って入場したので、会期中にもう一回行きます。楽しみです。