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@「ティンバーゲンの定理」とは、「N個の独立した政策目標を達成するためには、N個の独立した政策手段が必要」という経済の掟です。
ある政策に作用と副作用がある場合、作用のメリットが大きいなら、副作用への対応は、作用のメリットから得た税収の一部を使って別の政策で実施する。
そのほうが、結果的に政策全体のコストは安くなります。これを、「マンデルの定理」といいます。    (上念司)



たとえば、成長と安定化と再分配の3つ目標を達成するためには、3つの政策
手段が必要だということです。

1つの政策手段が複数の功罪含めた効果をもたらす場合は少なくないですね。

例えば、規制緩和は経済の効率性を上昇させる一方で不平等を拡大してしまう
ことがあります。

このような副作用をコントロールするためには、マンデルの定理が有用である
というのです。

マンデルの定理とは、ある政策目標があった場合には、副作用への懸念はいっ
たん切り離してその目標を達成するためにもっとも安上がりな手段をもちいる
べきであるというものです。

例えば、業界の効率性を上げるのにもっとも安上がりな手段が参入規制の撤廃
であればそれを選択する。

そして、その結果大企業への集中という副作用が生じればそれを解決するのに
もっとも安上がりな手段を使う。

このように副作用への懸念をいったん切り離してもっとも安価な方法を使って
いけば、全体として政策目標を達成するために必要な総費用を最小化できる、
というのがマンデルの定理ですね。



たとえば、構造改革が格差を拡大したのだから、そろそろ、格差是正のために
構造改革を止めたらどうか、ということを言う人がいます。


これなんかは格差是正の政策目標に対して、構造改革を止めるという政策手段
を割り当てるのは、とても奇怪な議論だと思います。

格差是正のためには構造改革をストップさせることより、もっと適当な政策手
段が存在すると思います。


なにかの問題点を解決するために、その解決策としての政策を実行しようとす
ると、「ティンバーゲンの法則」を知ってか知らずか無視して、副作用ばかり
強調して、反対しようとする人たちがいます。


僕にはそれは、反対のための反対としか感じません。


主たる目的を達成するのにその政策があまり適していないということで批判す
るならいいんですが、主たる目的ではなく、副作用を持って反対するのは、な
んかどうかなって思ったりします。


政治の政策論争でも、色んな所で見受けられて僕が凄く嫌なのは、誰かが何ら
かの政策案を掲げた時に、きちんとした対案を出すのではなく、その政策案に
よって考えうる、副作用を持って、反対のための反対とも思われる批判をする
人が必ずいるってことですね。

おいおい、主たる目的はではどうするんだよ!って思ってしまったりもします。


そもそも、主たる目的がなんだかぶれてしまっていたりする人もいます。


主たる目的を失わず、本末転倒にならないようにしつつ、その主たる目的を達
成するための手段を、「ティンバーゲンの定理」を忘れずに、副作用への対応
は別個にしっかり考えながら、進めていきたいなって思います。


この参議院選の各党の議論においても、結構、ティンバーゲンの定理を無視し
た、反対のための反対意見みたいのも出てきます。ディンバーゲンの定理を頭
に入れて、各党の議論を聞くとわりと面白いと思いますよ。