壊れる前の形は、もう思い出せない。
I can no longer recall the shape before it broke.
「継がれぬ傷 ーThe Unmended Woundー」
Oil on canvas
F4(333×242mm)
2025.08
般若と化したこの身体
モンスターと人間の隙間
もう戻れない
だけど戻りたい
人間に
穏やかに生きたい
この疼く想いはなんだろうか
この歯痒い痛みはなんだろうか
その余韻を感じ今日も生きる
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「Fractured 記憶 余韻」シリーズ–《継がれぬ傷 — The Unmended Wound— 》
記憶は、時に金では継げない。
壊れた場所に、美しさを見出そうとする手もある。
だが私は、その手を拒んだ。
怒りが残っていたから。
涙の奥に言葉が眠っていたから。
この傷は、修復ではなく、存在の証として
そのままここにある。
【論理的補足】
本作は、「癒されない記憶」の視覚化を試みたものです。
金継ぎに象徴される修復や再生を拒むことで、未解決の怒りや感情の余韻をそのまま刻みました。
継がれなかった傷こそが、私の“存在の証”です。
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本作は、日本の現代漫画・アニメ文化に根ざしたキャラクター造形と色彩感覚を用い、日常の親子関係における微細な愛情のズレを主題としています。
親子の在り方というテーマは文化や時代を問わず普遍性をもち、与えられた愛のズレによる子どもの心理的防衛や人格変容を視覚化することで、新しい価値を提示しています。
歴史的・宗教的題材から離れ、現代の個人的かつ日常的心理を絵画的手法で表現する試みです。
今、この瞬間、苦しんでいる人に光として記録されますように。
この子たちが、300年、500年先の誰かの心に届く光として歴史に残りますように。




