How To Improvise 第1回「スイング&ウォーキング」 | 『道』Blog
     
     
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    ようこそHow To Improviseへ!
     
    道下和彦と言います。
     
    How to Improviseはジャズ・インプロヴィゼーション(アドリブ)の練習法をいろいろ紹介する授業です。
     
    いわば、アドリブ練習法の「レシピ本」です。
     
    皆さんがアドリブを練習するときに良くある
     
    「何をやったらいいかわからない〜〜〜」
     
    という悩み事に、一つでも多く御答えしようと言う主旨で、1996年にスタートして、かれこれ28年間やっております。
     
    難しい音楽用語も時たま出てきますが、聞き流してしまっても何も困らないようになっておりますので、肩肘貼らずにお気楽に受講していただければと思います。
     
    キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ
     
    第一回は、
     
    1. 授業ガイダンス
    2. スィングというリズムについて
    3. ベースラインについて
     
    というお話をいたします。
     
     
    上差しHow To Improviseは
     
    月曜日2限、洗足アンサンブルシティ2F C202で行います。

     

    対面授業です。

     
    この部屋にはポータブルキーボードがあるので、皆さんはそれを使いながら授業内容を確認できます。
    授業の際、自分のキーボードをセッティングして受講してください。(自分の楽器も使用可)
     
    前期15回を次のようなスケジュールで行います。
     
    課題発表は3回
    1回目はブルースの書きソロ
    2回目はリズムチェンジの書きソロ
    3回目は好きなスタンダードナンバーの書きソロ
    です。
     
    タイムスケジュール
    How To Improviseは月曜2限です
     
    課題発表の日は皆さんが教室に楽器を持ち寄って一人一人の書きソロを演奏(又は録音したものを再生)します。

    スケジュールを守って提出してください。
     
    課題の詳しい内容は授業内で指導いたします。
     
    上差しひとつ、大事な事を
     
    クラス内マナーについて
     
    本クラスは1年から4年まで履修出来ます。と、言う事は、色んな人が一緒に勉強します。
     
    初心者滝汗
    達人真顔
    マニアックチーン
    サイコパスゲロー
    オタクポーン
    冷やかしウインク
    仮眠・・・酔っ払い
     
    いろんな人たちがいます・・・
     
    あしあとあしあとあしあとあしあとあしあと
     
    授業内では
     
    マニアックな内容を簡単に話したり(詐欺か?)…
     
    基礎的な事を深く掘り下げたり…
     
    みなさんの質問に答えたり…
     
    カッコイイ音楽を聴いたり…
     
    楽しいよ〜〜〜
     
    滝汗初心者の方は「マニアックすぎてよくわからないと思う事もあるでしょう。
     
    真顔上級者のかたは「そんな事知ってるわ!金かえせ!」と思う事もあるでしょう。
     
    学校という社会はついつい安易な優越感や劣等感を持ちやすいです。無理に仲良くしようとしたり極端に他人を避けたりするのは疲れちゃいます・・・
     
    自然体で(難しいけどショボーン
     
    上級者は初心者を馬鹿にせず、勇気と情熱を感じてあげてくださいね〜
     
    初心者は上級者を恐れず、興味を持っていろんなものを吸収してくださいね〜
     
    以上、授業ガイダンスでした。
     
     
    足足足足足
     
     
    授業を始めます。
     
    「ジャズのリズム(Swing)について・・・」
     
    皆さんはスィングという言葉をご存知ですか?
     
    スウィングスイング (Swing or swinging) とは、英語で「揺らす」「振る」の意。
     
    だそうですが・・・
     
    野球にも「バット・スィング」ってありますよね?
     
     
    ジャズというコロニー(共同体)の中では様々な意味で使われる言葉です。
     
    ウインク「僕はスィング・ジャズが大好きです。特にベニー・グッドッマンが・・・」(ジャンル)
     
    ニヤニヤ「やっぱ、オスカー・ピーターソンはスィングしてるな〜〜」(形容詞)
     
    真顔「あ、何何君、サビはスィングでやってくれるかな?」(演奏法)
     
    ゲロー「君、酒飲まんの?だからスイングせえへんねん!!」(パワハラ)
     
    等等・・・
     
    こんな会話が夜な夜なジャズ・コロニーでは行われているのですグラサンガーン
     
    スィングという言葉にいろんな意味があるのが混乱を招く元なので、
     
    本日はスィングというリズムがどのような構造を持っているのか?
     
    という事をシンプルな視点で解説致します。
     
    あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

    スィングは日本では時々4ビートと呼ばれる4拍子のリズムです。
     
    3拍子のスィングもありますが今回の説明では4拍子のみで解説します。
     
    キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ
     
    始めてジャズを聞いた人でも、何故か、聞いてるうちに身体を揺らしたり、足を踏んだり、指を鳴らしたり…

    不思議ですよね?何故リズムを感じるのか?
     
     
    上差しジャズのリズムは次の3つの要素で出来ています。
     
    1.ビート
    2.アクセント
    3.メロディ
     
    そして各要素を決まった楽器(リズムセクション)が担当する事になっています。
     

    「メロディ」は、歌や管楽器はもちろん、ギター、ピアノ、時にはベース等も担当します。
     
    「アクセント」はスィングのリズムで最も重要なパートで、主にスネアドラムとピアノやギター等のカンピング(伴奏者)が担当します。
     
    「ビート」はライドシンバルとベース基本的に4分音符を演奏します。
    そして密かにバスドラムで「フェザリング」という技を使ってビートを作ります。
    ギターもビッグバンドスタイルでは4分音符を演奏します。
     
    プンプン「せんせ〜〜〜!」
     
    真顔「ハイなんでしょう」
     
    えーん「既に混乱してます〜〜」
     
    酔っ払い「どないに?」
     
    えー「担当楽器と言いながら、スネアやライドシンバル、バスドラムって要するにドラム独りでしょ?」
     
    滝汗「大変良いところに気がつきましたね? 実はドラマーは一人でジャズのリズムの2パートを担っているのです!!!!」
     
    ドラマーは凄いのです!(実は)
     
     
    ドラムという楽器は一人で
     
    ビート(4分音符)
    アクセント(裏)
     
    を演奏します。
     
    これは即ちジャズの大事なとこ(美味しいとこ)を一人でやっちゃってるという事なんです。
     
    皆さんも美味しさを体験してみましょう。
     
    ドラムの疑似体験1
     
    両手を使って4分音符をキープしながらアクセントを叩いてみてください。
    手は左右どちらでも構いません。
     
    他にもいろいろアクセントで遊んでみてください。
    そして素晴らしいドラマー達がどんなアクセントを入れているか聴いてみてくださいね。
     
    ドラムの疑似体験2
     
    ドラムの疑似体験3
     
    と、言う風にドラマーは
     
    右手(ライドシンバル)でビートを刻みながら・・・
    左手(スネア)でアクセントを叩いているのです・・・
     
    故にドラムはスイングの要ということなんです。
     
    リズムセクションは
     
    音符ビート(4分音符)を支えるビート担当と、
     
    ルンルン緊張感を与えるアクセント担当
     
    2パートに別れて音楽をおもしろくしているのです。
     
     
    そしてこのリズムセクションを利用しながら、あるいは影響を受けながら、メロディやソロを軽やかに歌い上げるフロント達がいるのであります〜
     
    ビッグバンドという大編成のジャズ・バンドがあります。
     
    ビッグバンドは、アクセント、ビート、メロディの3要素がアレンジされた形で分かり易く表現されているので参考にしてください。
    (カウント・ベイシー、デューク・エリント、バディ・リッチなどがおすすめです)
     
    「まとめ・・・」
    メロディ又はアドリブソロ(ヴォーカル、トランペット、サックス、トロンボーンetc…)
    アクセント(ドラマーの左手=スネア&ピアノ、ギターのバッキング)
    基本ビート(ドラマーの右手=ライドシンバル&ウォーキング・ベース・ライン)
     
    皆で演奏たのしいな〜〜〜〜
    クラス内では音を出し(聴き)ながら実際のスイング・リズムを皆で作ってみましょう。
     
    続いては・・・
     
    「ウォーキング・ベース」

    いきなりですが・・・
     
    皆さんにベースラインを創作、演奏していただきたいと思います。どんな楽器の方(ドラムの人は口ベース)でもできますので、歩きながらベースを歌う「変なおじさん」になってくださいね。

    先ほどのジャズのリズムのお話では、ベースはビート担当という事になっていました。
    スィングの4ビート(4分音符)ベース・ラインはWalking Bass(ウォーキング・ベース)と呼ばれていまして、ジャズを象徴する演奏スタイルです。
     
    実はこのウォーキング・ベースはリズム的にも、音使い的にも、ジャズを体験する為の優れた教材になるので、ベーシストだけの秘密にしておくのはもったいないテクニックなのです。
     
    よって今回はベースラインの練習の仕方を一つ伝授致しましょう。

    ここで扱うウォーキング・ベースとは
     
    1小節に4つの音を演奏する、
     
    「4ビートのウォーキング・ベース」です。


    キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

    右差し先ずはコード進行を用意します。

    ||:C |A7 |Dm7 |G7 :||

    このコード進行を使ってベースラインを作ります。

    先ず最も大切な音はルートです。

    小節の頭(一拍目)に必ずルートを弾きましょう。

     

    Ex1)

     
     
    ルートの次に大事な音は5度です。
    5度は3拍目に弾いてください。
     
    Ex2)


    どうでしょう?
    ベースっぽく聞こえますか?

    上記のEx1,2)はコード進行のサウンドを支える重要な音(ルート、5度)ですが、このままではかっこ良くないですね?そこでウォーキング・ベース・ラインという訳です。
     
     
    右差しアプローチノートを利用しよう!
    アプローチとは「半音下又は上」から次のコードのルートに向かって解決を促す音です。
     
    Ex3)半音下から

     
    Ex4)半音上から

    半音なのでクロマチック・アプローチ・ノートと言います。
    クロマチック・アプローチ・ノートはキー、コード、スケール、に関係なく次の音の前に半音を付けるだけです。
     
    ここで少し理論的に話しましょう。
    半音というのはどういう音か?半音とは「不安定」な音です。
     
    上記のEx3,4)は次のルートに解決した時にサウンドが安定します。
    ルートの半音隣の音は、大変不安定です。早く次の音に行きたいのです。その「不安定」が「安定」したくなる「特性」を利用することによってクロマチック・アプローチ・ノートは成立します。感じをつかむために任意のコードを押さえながらそのルートの半音上又は下を押さえて(どの高さでも良い)ルートに解決してみてください。アプローチのシステムを理解する事ができるようになるとジャズサウンドの一端が分かってきます。
     

    楽器を使って確かめてみましょう~~~

     

    あしあとあしあとあしあとあしあとあしあと
     
    それではクロマチック・アプローチ・ノートを使ってウォーキング・ベース・ラインを作ってみましょう。
     
    右差し「ルート」と「クロマチック・アプローチ・ノート」
     
    ルートとアプローチノート(半音下又は上)を繰り返します。
     
    図1)
     
    rはルート
    anはアプローチノート(クロマチック)
     
    各コードのルートを1拍目と3拍目に置きます。(強拍弱拍のルールは後ほど説明します)
     
    Cmaj7の最初の音はC、次のA7の最初の音は…という風に当てはめてください。
    そして3拍目も1拍目と同じ音を。
     
    図2)は次の音の半音(上下)からアプローチします。
     
    楽譜でみると・・・
    図3)
    ◯の音符はなんですか?
    答えをみる前にちょっと考えて(弾いて)みてください。
     
    Thinking time~
     
     
    はてなマーク笑い泣き
     
     
    答え〜
    Ex6)下からのクロマチックアプローチ
    Ex7)上からのクロマチックアプローチ
     
    Ex8)ミックス
     弾いて見てください
     
    上差しImportant 大事!
     アプローチノートは次の音を基準に上下が決まります。先に次の音は何か確認してアプローチノートを決めてくださいね。
     
    ここまでが「ルート」と「クロマチック・アプローチ・ノート」によるウォーキングベースの作り方です。
     
     右差しウォーキング・ベース・ラインのアプローチ・ノート・ルール
     
    !強拍弱拍のルール
     
    強拍は安定音(コードトーン)
    弱拍は不安定音(アプローチノート)
    を配置します。
     
     
    これを逆にするとコード進行が不明確になります。(不明確にしたかったらそうしてください)
     
    基本は1.3拍目はコードトーン2.4拍はアプローチ・ノートですが、1拍目のルートが守られていれば2.3.4拍はフレキシブルに考えられます。
     
    音符その他のベースラインルール
     
    4つのアプローチ・ルール
     
     
     
    右差しR-AN-R-AN既にに紹介しましたのでルール2から紹介します。
     
     
    Ex9) R-AN-5th-AN
    Ex10) R-3rd-5th-AN
    Ex11) R-2nd-3rd-AN
     
    どうですか?ゲームみたいでしょ?慣れて来たらコードネームを見て即興でベースラインを弾く事が出来るようになります。
     
     
    ニコニコベースラインを即興で演奏できる様に訓練するのはアドリブの訓練にとても良いのです。コード進行とシンクロする感覚練習?とでもいいましょうか…?ジャズのフレーズはコード進行を利用して出来ています。コード進行を元にリズムをキープしながら即興でメロディを作る、これはベースラインも全く同じです。すなわち「コード進行とシンクロする感覚」というのがジャズの即興において大切なスキルなのでそれをシンプルに体現している「ウォーキング・ベース」が基礎となるのです。


    えーんそれではここで宿題です。次の授業までにウォーキング・ベース・ラインをEx12)のコード進行を元にして作ってください。それをPDF又は画像ファイルで道下に送ってください。

     

    コード進行はこちらです。

    リピートした時に自然につながるように工夫してくださいね。

     

     

    Ex12) Blues in C



    キョロキョロこのクラスは1〜4年制限無しでジャズコースの学生なら誰でも履修出来ます。学修段階が異なる人達が混在している訳です。このクラスの授業は誰もが理解しやすい学修内容ですが、課題はそれぞれのレベルに合わせてやってください。ハイレベルなアプローチもWelcome です!
     
    口笛授業内容は一週間で理解する必要は全くありません。お料理のレシピ本のように気が向いた時に作ったりしてくださいませ。



    ウシシせっかくベースのお勉強したのでかっこいいベーシストを紹介します。
    参考アーティスト(ベーシスト)
     
    Paul Chambers

    歌のようなベースライン

     

    Ray Brown

    ベースの音に注目

     

    Jaco Pastorius

    後半大変な事になるので聞き逃さないように