この記事は私が音大でやっている授業内容の1部分を
学生の予習、復習の目的でこちらのページに記載しています。


How to improvise とはどんなクラスか?

アドリブをどうやってやるのか?
又はアドリブがどうやったら上手くなるのか?
という疑問に答える?というよりも、

アドリブには
こんな考え方が…
こんな練習方が…

「有るよ」

といったようなアドリブに関する情報の「カタログ」
というイメージで授業計画を作りました。

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今日のお題は・・・

「コードスケール」
解りやすく言うと、
「コードとスケールの関係」
もっと解りやすく言うと
「このコードのときは何のスケールを使うのですか?に対する答え」
です。

このコードのときは何のスケールを使うのですか?
という質問は僕がアドリブに関する質問で、
もっともよく受ける質問です。

このコードの時にはどんなアルペジオを使いますか?
という質問は、あまりしません。
なぜなら分かるからです。

例えば、
「CMaj7の時はC E G B」
「Dm7(b5)の時はD F Ab C」
です。

4つしかないのです。
覚えましょう!



しかし、スケールはそうはいかないのです・・・

生徒「先生!ここのG7は何のスケールですか?」
先生「オルタードかな?」
生徒「オルタードですね?」
先生「コンディミでもいいんちゃう?」
生徒「コンディミですか?」
先生「ミクソフラット6でもいいけど・・・」
生徒「ミ・クソ、フラット・・・6ですか?」
先生「やっぱオルタードかな?いや、HP-5もすてがたい・・・」
生徒「・・・・?」


そうなんです、スケールの話はコードより複雑なんです。

人によって言う事が違っていたり、
行った通りにやってみたけど、なんか変(微妙)だったり。

一体どうやって考えるのでしょう…


と、いうお話を。

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僕が昔通ってたバークリーと言う音楽学校には、
コード・スケール・フォー・ヴォイシングという授業があって、
楽曲のコード進行内の各コードに対してどのようなスケールが適切か?
という事を専門的に勉強するクラスがありました(今はあるのかどうか判りませんが)
例えば、メージャーキーの4番目はリディアン!
マイナーキーの2番目の7thコードはオルタード!
という風に表のような物で覚えていく・・・感じ、だったような・・・

おそらくバークリーのこの考え方が、日本に伝来し、
1メージャーはイオニアン、2メージャーはドリアン!3はフリジアン!
という風に、「キーの何番目がなんのスケール」という覚え方が本流であるかのように伝わっていったのでしょう。


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ダイアトニック(調性)の度数と、コードスケールを結びつけるのは、
いったんやめましょう。

なぜならその方が簡単だからです。


Maj7は1であろうと4であろうとb2であろうとどの場所に出てきてもMaj7です。
ダイアトニック(調性内)かノンダイアトニック(調性外)か分けません。


コードタイプも、ややこしいのはどけて、
まずは次の4つのコードタイプに対してのスケールだけを考えます。


それは、
メージャーセブンス、(Maj7)
ドミナントセブンス、(7)
マイナーセブンス、(m7)
そしてマイナーセブンスフラット(5、m7(b5))
以上の4タイプです。

分数コードは後回し、テンションコードも後回しです。

次のコード進行は、
ステラバイスターライトというスタンダードナンバーです。


||Em7(b5)|A7|Cm7|F7|Fm7|Bb7|EbMaj7|Ab7|
BbMaj7|Em7(b5) A7|Dm7|Eb7|FMaj7|Em7(b5) A7|Am7(b5)|D7|
G7|G7|Cm7|Cm7|Ab7|Ab7|BbMaj7|BbMaj7|
||Em7(b5)|A7|Dm7(b5)|G7|Cm7(b5)|F7|BbMaj7|BbMaj7||

上記の4タイプのコードネームしかありませんね。
そしてこの他のいろんなスタンダードナンバーのコード進行は、
上記の4タイプのコードネームしか出てきません。
すなわち、この4つのタイプがベーシックコードネームなんです。

なんとか分のなんとかとか、
なんとかシャープファイブフラットナインとかは、
ぜんぜん要らないんです(今は・・・)

4つのベーシックコードタイプに対するスケールの当てはめを、
先ずは覚えましょう!!!

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次の表を見てください。(小さい場合はクリックで拡大)
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この表の見方を説明します。

この表は各コードタイプにフィットするスケール達です。
括弧内は推奨スケールです。

Maj7は全てのスケールが推奨です。
どのスケールを弾いてもちゃんとサウンドします。

ドミナント7は
オルタードと
リディアンb7が推奨
注釈については後で説明します。

m7はドリアンとメロディックマイナーが推奨。
m7(b5)はロクリアンナチュラル2が推奨


推奨とはジャズインプロヴィゼーションにおいて、
一般的に使われている、という事です。
言い換えればジャズっぽいということです。

ところが、理論書等では、
何が何でもアイオニアンから・・・
ドミナントはミクソリディアンから、説明するのです。
マニュアルを先に説明するのですね。
そっちの方がジャズっぽくないのだから、
ピンと来なくて理解の妨げになるのに・・・

やっぱりThis is a pen.の国だからでしょうか?

慣習を変えようとしない、
悪いとこが在ったら、改めていけば良いのに・・・
せめて多様性を認めるだけでもずいぶん違うのに・・・



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ドミナント7の場合は2つの条件でコードスケールを選びます。

(オルタード)=解決するドミナント
(リディアン♭7)=解決しないドミナント

です。

解決するドミナントとは、
4度進行で次のコードに解決しているドミナント7thです。
C7|Fm||
とか、
Eb7|AbMaj7とかですね。
この場合はオルタードが推奨です。


解決しないドミナントとは、
4度進行で次のコードに行ってない場合、
Db7|Cmaj7||
Ab7|BbMaj7||
など、4度進行していない場合又は、ブルースの様に、
トニックとして存在知る場合など、
解決を目的として存在していないドミナント7は、
リディアン♭7が推奨です。

一つだけ例外があり、
4度進行で解決していないドミナント7でも、
m7(b5)と対になっている場合はオルタードを使います。
Em7(b5)|A7|Cm7|
A7は4度進行ならばDまたはDm7に行きますが、Cm7に行ってます、
したがって4度進行していませんが、前のコードのEm7(b5)と
2-5になっています。
この場合はオルタードを使います。

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それではこれらを踏まえて、
ステラバイスターライトにコードスケールを当てはめてみましょう。
最初の8小節を示します。(小さい場合はクリックで拡大)

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この後のコード進行に対してコードスケールを当てはめていきましょう。
出来上がったら、先ずは弾いてみます。
ピアノでは左手でコードのルートを弾いて、
右手でスケールを弾く。

ギターや管楽器の方は伴奏のカラオケを使ってもいいですよ。

コードスケールの練習は(特に)サウンドと一緒に行うのが重要です。
スケール練習というのは指の練習ではありません。
耳の練習なんです(もちろん早く弾きたいですが・・・)

そのスケールをあのコードの上で弾くとどんなサウンドになるか?
という事を繰り返し練習する事によって耳に刷り込んでいって、
そして慣れていくんですね。

この方法は(時間はかかるが)必ず成果が出ます。
なぜなら超超音痴でみみが悪い僕でもやってるうちに慣れましたもんヾ(@°▽°@)ノ


次回はコードスケールの具体的練習法について。