この記事は私が音大でやっている授業内容の1部分を
学生の予習、復習の目的でこちらのページに記載しています。


How to improvise とはどんなクラスか?
アドリブをどうやってやるのか?どうやったら上手くなるのか?という疑問に答える?というよりもアドリブにはこんな考え方が…こんな練習方が…「有るよ」といったようなアドリブに関する情報の「カタログ」というイメージで授業計画を作りました。

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以前紹介したジャズフレーズの三要素、コードトーン、アプローチノート、そしてスケール、今回はいよいよスケール、そしてモードです。
「スケールとモードは何が違うのですか?」という質問をよく受けます。

「スケール」とは集合体の名前「モード」とはスケールに秩序を与えた物という言い方ができます。

例えるならば…
「スケール」とは姓
「モード」とは家族の名前という言い方もできます。

松野が「スケール」ならば、おそまつ、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松、が「モード」似てるけど性格が違います。

まずはメージャー(スケール)一家の、兄弟(モード)を紹介しましょう。

⒈アイオニアン(ionian)
⒉ドリアン(dorian)
⒊フリジアン(phrygian)
⒋リディアン(lydian)
⒌ミクソリディアン(mixolydian)
⒍エオリアン(aeorian)
⒎ロクリアン(locrian)

家族にはそれぞれ「性格」があります。
その性格(サウンドキャラクター)を利用して、
作曲したり、アドリブに利用したりするのです。

それでは兄弟(モード)の「性格」の話を

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モードとは?「引力」である

音楽理論というのは「音の聞こえ方」に名前を付けて「分類」そして「説明」をしようとしたもの・・・音の聞こえ方なんか人によって違うじゃん?という声もちらほら・・・そのとうり!違います。現在のジャズ・ハーモニーは一応確立されてるような感じがありますが、実は人によって著しく違いのある最も確立されていない理論です。「こうでなくてはならない!」と言う物は何も無いのです。誠に学習者泣かせですが、だから音楽は楽しいのです。違う感覚を持った人達が集まって音を出せば当然一人だと出来なかったあるいは起こらなかった「不思議な現象」が起こります。複数の人間が集まっていろんな音を出すとリズムが生まれたりハーモニーが生まれたり・・・「あ、今の気持ちよかった!」「もいっぺんやったろか!」ってな感じで「遊びのルール」のような物ができて、それらを徐々にマニュアル化することによって再現可能な物として音楽言語(民族音楽)がだんだんとできていったのだと思います。モードもそれらの現象のひとつなのでしょう。


どんな現象か?

$『道』Blog

上のメージャースケールはそのまま弾けば、ただのメージャースケールです。でもその下に(低音で)他のルートを弾けば違う性格に聞こえてきます、それがモードという現象です。低音の引力に影響を受けてメージャー・スケールという「無秩序な音群」に性格(秩序)が生まれます。

例(弾いてみてください)

Cメジャースケールのベース音をD(dorian)に…
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Cメジャースケールのベース音をE(phrygian)に…
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Cメジャースケールのベース音をF(lydian)に…
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Cメジャースケールのベース音をG(mixolydian)
Cメジャースケールのベース音をA(aeorian)
Cメジャースケールのベース音をB(locrian)

・・・と言う風に
メイジャースケールはベースの引力によって(聴覚上)7つの性格を持つという事です。

ニコニコ

ここで一旦まとめましょう。
「スケールとモード」とは

☆スケールとは構成音そのもの、のこと。

音の並びや飛び方は関係なく
CDEFGABの7つの音自体がスケールである。

例えばFメージャースケールだったら
FGABbCDEの7音

例えばDメージャースケールだったら
DEF#GABC#の7音


☆モードとはスケールに秩序を持たせたもの。
その秩序とは、どの音を主音(トニック)にするか・・・(どの音に引力があるか?)です。

例えば、CをトニックにしたCメージャースケールのモードは?→Cアイオニアン

例えば、CをトニックにしたFメージャースケールのモードは?Cミクソリディアン

例えば、CをトニックにしたDメージャースケールのモードは?

そんなの無い!
ってことになります。(わかりますかね?)


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スケールとモードの関係性を覚えるにはスケール・チャートを12キーで書く、という練習法がとても効果的です。
スケール内にあるモードを全て「ダイアトニック」と「同一ルート」の2つの方法で書いて行きます。



derivative=派生=ダイアトニック
parallel=平行=同一トニック

このチャートを12の調で書いて行くと各キーのモードがすぐに頭に浮かぶ様になります。

そしてモードを導きだす為の練習問題をやってみます。

練習問題1)次の方法で、Fがルートになる7つのモードを書きなさい〜



練習問題2)次の方法で、B♭がルートになる7つのモードを書きなさい〜



練習問題3)次の方法で、E♭がルートになる7つのモードを書きなさい〜


練習問題4)次の方法でA♭がルートになる7つのモードを書きなさい〜


と、言う風にスケールとモードの関係性をいろんな方法をつかっていろんな角度から見られる様になるとアドリブは元よりアレンジや作曲の時も必ず役に立つ知識になると思いますので、時間に余裕があってやる気のある方はやってみてください。

ニヤリ

モードに関しては様々な解釈があって、この現象をどの角度から見るか?又はどんな風に使うか?正に10人十色です。ある意味勉強し辛い曖昧な分野かもしれないのですが、それだからこそこの世に存在する様々な音楽の素になりうる柔軟性があるとも言えますね。

ところで・・・
ジャズ理論の本には必ずと言っていいほど

CMaj7のときはCアイオニアン
Dm7のときはDドリアン
G7のときはGミクソリディアン
を使用…
と、書いてあります…見た事ありませんか?

私も初めて「アヴェイラブル・ノート・スケール」というこの「説明」に対して何とも言えぬ疑念が湧いたのを覚えています。

$『道』Blog

ん?これは?ようするに、全部Cメージャースケールでしょ?必ずそれぞれのコードのルートから弾け!ってこと?…弾くときにいちいち思え!ってこと?
ただでさえ回らない頭を空回りさせた物です。
これはいったい何を説明しようとしたのでしょうか?

続く・・・

ウインク

モードと言えばこの人達!

マイルス・デイビス&ジョン・コルトレーン
散々コードの細分化をしてコード進行を難しくしたくせに、今度はDmだけかよ!と、突っ込みを入れたくなる曲…

So What



その他ジョン・コルトレーンのモードサウンドを聞いてください。圧倒的な想像力でモードサウンドを掌握しています。圧倒されてください!
ついでに・・・「耳が慣れて」きます。


ジョン・コルトレーン
Impressions







宣伝で恐縮ですが、私の無窮動シリーズのなかの問題作、「2」はモード中心のフレーズで構成されています。上記のインプレッションズの進行も取り上げています。




そして新作です〜