ギシギシの雑種、第10弾です。

2022年3月に刊行された
『千葉県立関宿城博物館研究報告第26号』
そこに博物館周辺のギシギシ雑種群についての
論考を投稿しました。

その中で、未記載と思われる組み合わせの
2雑種について新称の提案を行いました。

このうちのひとつがこの
セイタカアレチギシギシ(背高荒れ地羊蹄)です。


セイタカアレチギシギシ
(Rumex conglomeratus × R. japonicus)
は、

アレチギシギシ(R. conglomeratus)
ギシギシ(R. japonicus)の推定雑種です。


一般に雑種の名前は、

組み合わせが分かりやすくなるように

 

●●ギシギシ × ▲▲ギシギシ →●●▲▲ギシギシ

…と組み合わせるような感じにするのが理想とされますが、
この組み合わせは片親がただのギシギシなので、
特徴をもとに新称を行いました。

名前のとおりで、環境条件などの制約がなければ
茎はまっすぐのび、草丈2m前後にも達します。
これは雑種強勢という性質が関係していると考えられます。

片親のアレチギシギシのように花の節と節の間隔が空いていて、
段々になって見えるという特徴もあります。

 



また雑種なので果実のできは悪く、
多くはすぐに脱落してスカスカしたような感じになります。
ただ完全に不稔ではなく、多少は結実します。



結実した果実を包む花被片は、
ギシギシに比べると小さく、縁は少しギザギザします。

花被片の大きさ・形にはムラがあり、
細長いものからややずんぐりしたような
感じのものまでさまざまです。

 



成熟すると茶色っぽくなるものの、

赤みはそれほど強く出ないようです。

葉の形は、茎のつく葉は片親のギシギシに近い雰囲気です。


葉裏はギシギシ、アレチギシギシ同様に
脈上に毛のような突起はありません。


最後に参考までに花被片の比較も載せておきます。