前回フロッグは、恵の残した切り札を用いて、西園寺の保有する裏利益から、50兆円もの大金を奪取した。

北原「でも、そんな大金奪ってどうするつもりなの?」

フロッグ「天乃君が残したメモによると、RIVERによってもたらされた利益は、西園寺の総資産の約80%を占めるらしいです…西園寺が今の地位に居座り続けられるのは、なにもクイーンの存在一つが理由じゃない…この10年で、荒稼ぎを繰り返した莫大な資金力も大きな関わりにあるのです…しかし、西園寺の体を成す方翼を、何者かによって一瞬にして奪われた…そして、わずかに残った2割の資金では、これまでのように世界各国の政財界のキングメーカー達の心を繋ぎ止めるには、如何せん心もとない…西園寺はなんとしてでも、それを取り返しにくるでしょう…例え、その姿を晒してでも。」

柏木「なるほど、それがこの作戦の狙い…。」

フロッグ「そして、西園寺を炙り出す作戦の第二段階として、この脅迫メールを送ります。」

文面には
「我々は、クイーンの情報と在処を知っている。

50兆円の資産とクイーンを同時に失うか、お前がひた隠しにしてきたその姿を晒すか、選択肢は二つに一つだ。

本日の19:00、天乃恵が命を落としたビルの屋上で待つ。

不審な行動を感知すれば、即座にクイーンへの破壊活動を行使するので、細心の注意を払う事をお薦めする。」
と書かれている。

高城「でも、なんでこのメールをこの人に送り付けるんすか?これも、作戦の内なんすかね?」

その質問を受け流すように、前田がフロッグから携帯を受け取る。

前田「皆、心の準備は良い?私がこの送信ボタンを押せば、主導権は完全に私達が握る事になる…でも、このメールを受け取った西園寺が、ただ黙ってるとも思えない…もしかしたら、このまま殺される事になるかもしれない…その覚悟がある人だけ、この場に残って。」

それを聞いた一同は、誰一人微動だにせずその場に留まった。

剣堂「何を今更…覚悟なんて、とうの昔に付いている。」

丞ヶ崎「天乃のでっけえ覚悟見せ付けられて、はいそうですかなんて出ていける訳ねえだろ!」

前田「…皆、良いんだね。」

渡辺「もちろん!」

柏木「私には、見届ける義務があるから。」

北原「天乃君の意志は、私達でやり遂げる。」

高城「いくら聞かれても、心変わりなんてしないっすよ。」

全員の同意を得た前田は、一度だけ頷くと親指に力を込めて、送信ボタンを押した。

前田「もう後戻りは出来ない…あとは、前に進むだけだよ。」

その光景を遠巻きから見ていた輝久は、それを見届けると席を外した。

輝久「…ここらがもう、潮時みたいだな…俺は、任務を放棄させてもらうよ…西園寺…いや…。」

そう呟くと、輝久は何処かへと消えていった。




PM19:00・廃ビル街、屋上。

約束の時間、前田達は固唾を飲んで西園寺の到着を待っている。

高城「…来ないっすね…。」

北原「まさか、何処かで私達を狙ってるとか!?」

柏木「それは考えにくいんじゃない?私達を殺したら、奪われた50兆円の在処を聞き出せないし、クイーンを危険に晒す事になる…私達を殺す事は、この場においては西園寺のデメリットにしかならない。」

丞ヶ崎「じゃあ、なんで姿を現さない?」

前田「ううん…きっと来る…。」

前田の言葉を最後に、屋上に沈黙が訪れる。

そして、沈黙のまま屋上の入り口を注視し続ける事約20分後。

西園寺「ふぅん…ここで、天乃恵と山岡が同士討ちになったんだ…。」

暗闇から、突如声が聞こえてくる。

剣堂「来た!?」

北原「でも…この声…?」

渡辺「どっかで聞いた事ある様な…。」

前田「やっぱり…あなたが…。」

月明かりに照らされたその姿に、フロッグを除いた全員が驚愕する。


















小嶋「フフッ…前田さん、久し振り。」

前田「…なんで、国民的アイドルの筈の貴女が、西園寺の正体なの…小嶋陽菜…!」