校庭

外では、駆け付けた消防隊員による、懸命な消火活動が行われていた。

そこに、騒ぎを聞き付けた輝久とフロッグが、搬送先の病院から舞い戻ってくる。

警官「ご、御苦労様です!」

先程、恵を羽交い締めにしていた警官らが、輝久に向かって敬礼する。

輝久「…これは一体、なにが起きた!?」

警官「はい、警視正殿が患者と一緒に病院へ同行された後、警備員に紛れていた敵の残党が突然現れ、持っていたスイッチを押した所、校舎全体が爆発炎上しました…すぐさまその男は確保しましたが、どうやら奴は作戦が失敗に終わった時、スイッチを押すよう命令を受けていただけのようで、それ以外の事は仲間の名前すら知らされていなかったようです。」

輝久「怪我人は?全員無事なのか?」

警官「…それが、中に取り残された少女を救いに、忠告を無視した少年が校舎内に入って行ったまま、まだ出てきていません。」

輝久「…恵…やはりお前は、蕀の道を進むのか…。」

警官「あの…失礼ですが、警視正はあの少年とお知り合いみたいですが、一体何者なのでしょう?大胆すぎる突入から人質の救出まで、とても一般市民には思えないのですが。」

輝久「あれは…俺の息子だよ…世界一のな。」




屋上

恵(前に、秋元がここから飛び下りるのを止めた時、解決策として真っ先に思い浮かんだ方法…。)

恵は、柵を跨いで屋上の縁に立つ。

恵「…プールに飛び込む…。」

恵(しかし、今はその時よりも状況が厳しい…気絶したあっちゃんを護る為には、身体を垂直にしてダメージを軽減させる方法はとれない。)

恵「俺があっちゃんを抱き抱えたまま、背中から飛び込むしかない…。」

しかし、その飛び込み方をすれば、皮膚の裂傷や臓器への甚大な損傷は免れず、恵の命に保証はない。

だが、生命を賭ける価値を見出だした恵にとって、そんな事など既にどうでも良い事だった。

恵の脳裏に、前田の笑顔が走馬灯の様に、フラッシュバックされる。

恵「…やっと気付いたよ…今まで、あまりにも近くに居すぎたから分からなかったけど…俺、あっちゃんが好きなんだ…。」

恵は、前田をギュッと抱き締めて、プールに背中を向けた。

恵「…何も無かった俺に、居場所を与えてくれてありがとう…あっちゃんが俺の前に現れてくれなかったら、この先何十年生きたとしても、こんな充実感はきっと味わえなかった…だから、ここで死ぬ様な事になっても、俺は幸せ者なんだよ。」

恵は、顔を埋めて耳元でささやく。

恵「俺、生まれて初めて告白なんかするんだけど…あっちゃん…俺、あっちゃんの事が大好きだ…だから、君はなんとしてでも俺が護る…命に代えても…。」

そして、恵はトンッと縁を蹴って、プール目掛けて背中から飛び込んだ。



ザッバアァァァン………!!!!