安土「鍵が消えているぞ!」

坂詰「なに!?…あ!」

坂詰も、昨夜の異変を思い出した。

安土「坂詰…今、校内に隠れている奴等は…侵入者だと思うか?それとも、潜伏者だと思うか?」

坂詰「地雷発動後、誰にも気付かれずに侵入出来る程の手練れが、向こう側にいるとの情報は入ってきていないし、実際その様な異変は感じなかった…という事は、今校内に居るのは始めから居た者…つまり、生徒か教職員の可能性が高いな…。」

安土「そうなると、以前コンクール会場で楯突いてきたという、高校生集団の線が強い。」

坂詰「だがしかし、以前山岡が、その中でも一番厄介な存在は排除しておいたと言っていたから、居るのは三下…相手は、恐るるに足らん奴等だろう。」

安土「それでは、次は鍵の紛失時期についてだが…ドアが開いていたのに気付いたのは、銃撃戦が終わった後…という事は、潜伏者はあの騒動に乗じて、危険を承知で鍵を取りに来た事になる。」

坂詰「…つまり、危険を犯してまで鍵が必要だったと?」

安土「そうだ…そうまでして、この広大な校内の施錠された教室に、わざわざ入らなくてはいけない理由…考えられる事柄は、大きく分けて二つ。」

そう言って、安土は中指と人指し指を立てて続ける。

安土「まず一つは、閉ざされた先に校内からの脱出経路が存在する場合…しかし、これには地雷原の突破まで考慮に入れなければならない事…そして、そもそも学校に残留した意図が不明である事、危険を犯すリスクが不明である事を考えると、この予想は否定される。」

坂詰「それでは、二つ目は?」

安土「二つ目は、我々に対抗すべく、武器になり得る物を手に入れようとした場合…潜伏者は、もとから校内に居た者…つまり、武器を持ち合わせていない突発的状況で、この事態に巻き込まれた…そして、施錠された教室には、勿論危険物を取り扱った部屋も存在している事、危機的状況を省みず鍵を取りに来た事などは、全て我々への敵対心という言葉で符合させられる。」

坂詰「それに基づくなら、手当たり次第に教室のドアを壊して回る手間も省けるという訳だ。」

安土「…敵は、四階にある図工室か理科実験室のどちらかだ。」



その頃、図工室

前田「剣堂君が、恵ちゃんが来るまでここで待ってた方が良いって。」

柏木、北原「え!?天乃君が来るの!?」

二人が跳ねた声で驚き、嬉々とした感情を露にする。

前田「どう思う?」

柏木「それは勿論、待ちましょう!ね?」

柏木は、前田のこの問い掛けに対して、一も二もなくこの場に留まる事を決めた。