恵は、倒れている丞ヶ崎に手を差し伸べる。

恵「大丈夫か?顎先かすめられたろ。」

丞ヶ崎「見てたのか?」

恵「いや、外傷が無いのに立ってる事もままならないお前の状態見て、テコの原理で脳ミソグラグラ揺らされたんだなって、思っただけさ。」

丞ヶ崎(こいつ…それを瞬時に…。)

遠方から前田が近付く。

前田「お~い、皆ぁ~…って、なんかあったの?」

北原「あ、前田さん…剣堂鼎と知り合いなの!?」

前田「ん?誰じゃそれ…なんで泣いてるの??」

恵「あいつって、丞ヶ崎と一、二を争うイケメン君だよな?」

丞ヶ崎「…あいつはそれだけじゃない、学力も全国模試上位の常連だし、運動神経もアスリート並みだって話だ…だから、顔の良し悪しだけで俺と並び立てられるのが、相当いけ好かないらしい。」

恵「なるほど、それでお前に対して、あんな憎悪剥き出しって感じだったのか。」

丞ヶ崎「でも、そのせいか性格に難ありで、他人を見下したり、女の子への手癖も悪いってもっぱらの評判だよ。」

恵「そのマイナス面が目について、尚更差し引きゼロで評価される訳か。」

前田「人は、決して完璧にはなれないのである!」

北原「何をそんな他人事みたいに…次に狙われてるのは前田さんなんだよ!」

前田「へ~、その前田さんってのも災難だねぇ…って私か、それ…アハハハ…ハ…ハ…はぁ!?」

恵「なんで、こんなアホの娘を?」

前田「恵ちゃんどうしよ~!?」

恵「う~ん…取り敢えず会ってみたら?」

丞ヶ崎「はぁ!?」

恵「だって、あっちゃんは剣堂に好かれる覚えは無いんだろ?だったら一回会ってみて、どんな奴なのか自分で見極めるのも大事だと思うぞ?」

前田「確かに、顔もよく知らない人を、周りの話だけで悪者扱いするのは良くないね。」

北原「ちょ…それはどうかと…女の勘が危ないって警告してるよ!」

前田「まぁ、このまま関わらないに越したことは無いけど…それで事が治まるとは思えないし、それならコッチから動いても一緒かな?」

恵「よし、それじゃ決まりだ!いざとなったら、丞ヶ崎が止めに入るから、安心して行ってらっしゃい。」

丞ヶ崎「おい、なんで俺なんだ!?」

恵「お前も、北原にちょっかい出されて、剣堂にやられっぱなしじゃ締まりが悪いだろ?」

丞ヶ崎「…やっぱり見てたんじゃねぇか!!」

恵「そうと決まれば、あとはあっちゃんのタイミング次第だな!」

前田「おぉ~!!」

北原「…何を呑気な。」