令和6年末にご依頼を承ってから4か月が過ぎました。

今月末ころにはお客様へ引き渡しができると思います。

天候不順が続き、予定が一か月ほど伸びました。

「上」や「五」にあったへこみキズは塗装の下地材までで棹本体には達していませんでした。

塗装を剥いだ時は本当に安堵しました。

親泊氏はどちらかと言えば「真壁型」がお得意だったように記憶しています。

この棹の様に与那城型は少ないと思います。

親泊氏がご存命なら、楔張りの胴をお願いしたかったと思います。

それが叶わないのは残念でなりません。

しかし、ご依頼主のご家族が亡きお母さまの御意思を継いで、

三線をやってみたいと仰っておられます。

三線に携わる者として、このように嬉しい事はありません。

今後とも何かとご協力させて頂きたいと考えています。

 

 

黒檀のオイル仕上の真壁型三線

黒檀は紫檀よりは高音に伸びがあり、中低音域に広がりがあるのが特徴。
塗は染料が入っていないクリアオイルで仕上げたので繊細な木目模様がよくわかる。

半艶消しの仕上がりで手の感触が滑らかで手触りが心地よい。


樹脂の塗膜が無いので、棹の振動がダイレクトに伝わってきて、ワンランク上の響きがある。

 

さらにポリエステル弦を張ることで強化張り欠点である効きすぎる高音を抑え、

黒木棹の蛇皮本張り三線のような音色を醸し出している。

作業は和於屋オリジナルで当店工房で行っている。

 

紫檀 真壁型 艶消しスンチ 蛇皮強化張り

 

艶消しスンチ塗は和於屋の工房で行っている。

カラクイや弦の装着、部あてなども同時に行っている。

スンチ塗なので、紫檀の素材感がよくわかり、艶消しのため、

手ざわりが良い仕上がりになっている。

艶消しは手触りがよく、演奏時には手がスムーズに動く。

 

紫檀は煌びやかな高音が特徴だが、強化張りでは高音域に耳障りな感がある。

その対策として、和於屋三線ではナイロン弦ではなく、京都鳥羽屋のポリエステル弦を張っている。

初音がナイロン弦よりの大きく、高音の伸びが少ない。

結果として高音が軟らかくなり、良く鳴る三線になる。

和於屋三線では強化張りと人工皮張り三線には必ず、ポリエステル弦を張っている。

また、新調したての蛇皮本張りは当初は音色が硬いので、

蛇皮が馴染むまでの数か月はポリエステル弦を張っても良い結果を得られる。