紫檀 真壁型 スンチ塗 蛇皮強化張り260709

 

紫檀は比較的お求めやすい価格で棹の響きがある材です。

 

今回は強化張り仕様ですが、蛇皮本張りなどへの拡張性があります。

初心者向けの三線として樫の三線がありますが、これよりは伸びのある高音が特徴的です。

ただ、黒檀に比べると中低音域が少なくなります。

強化張り仕様だとその傾向が顕著に表れます。

その欠点を補うために和於屋三線では通常よく使われるナイロン弦ではなく、

ポリエステル弦を使っています。

この弦は音が大きくなるので、中低音の拡がりも大きくなります。

結果、新品の蛇皮本張りのような音色になります。

 

お預かりした親泊黒木の下処理が完了しました。

まず初めに古い塗装を剥いでいきます。

これが結構大変なんです。

スンチ塗ならほぼ合成漆なので、塩素系の剥離剤を使うと簡単に剥がれますが、

塩素系と言うのが抵抗があり、和於屋では使っていません。

地道にサンドペーパーではぎ取っていきます。

大まかにはグラインダーなどを使えますが、細かいところは手作業になります。

結構大変な作業です。

塗膜が剥がれたら、棹の細かい凹凸をサンドペーパーで

均していきます。

ここの作業を怠ると塗装の出来に大きく関わって来るので、

丁寧に仕上げていきます。

本漆を塗る前は砥の粉をパテの様に使い、小さいキズや

凹凸を均していました。

ですので、棹自体にサンドペーパーを充てる事はなかったと思います。

以前ブログでもご紹介した「合格」黒木三線も棹本体を綺麗に整える

と言う作業は施してありませんでした。

砥の粉を塗った後で形を整えるので、必要なかったのです。

 

この棹はスンチ塗だったので、棹自体はサンドペーパーで整えてありました。

ただ、経年による小傷などがあり、これらを整えて念のため、

サンドペーパーを充てておきました。

来週から塗の作業に入ります。

 

和於屋の長村です。

6月19日にお客様から年代物の黒木棹をお預かりしました。

お客様のご依頼は棹の塗り直しと最高級蛇皮本張りの装着、

カラクイ、歌口、弦の新調です。

古いですがキズや補修などはなく、きれいな棹です。

心の三方に「親泊三味線店」の印があります。

昨年に修理のご依頼を受けた三線の胴も親泊宗康氏が製作した胴でした。

今回のご依頼では黒木棹で三線に仕上げます。

お亡くなりになっていますが、親泊氏とはご縁があるなぁとしみじみ思います。

 

三線店として駆け出しのころ、何度か親泊氏の店にお邪魔して、

いろんなお話をお聞きしました。

蛇皮の種類や張り具合、音色の違いなど、胴に関することから

棹の製作についても良くお話しくださいました。

 

当時お聞きしたエピソードで驚いたのが2つあります。

蛇皮の接着剤に「にかわ」を混ぜたものを使っておられました。

その接着剤を取って私に「長村君、にかわを混ぜる前ならこの接着剤は食べられるんだぞ。」

と教えてくださいました。

小麦粉と水と鰹節を混ぜたものを良く練って最後に「にかわ」を練りこんでおられました。

もう一つは蛇には爪があることです。

退化した足の名残がまだあり、ハッキリと爪だと解かるものが残っています。

当時、爪がついている蛇皮を親泊氏からいただき、今でも大切に保管して、

和於屋のご来店されてお客様にその皮でご説明しています。

 

 

訪問時間は親泊氏のご指定で午後3時過ぎと決まっていました。

少し仕事関係のお話をしているとすぐに仕事終わりの5時になります。

「着替えてくるから待っていてくれ」と言われ、待っていると

それまでの作業用の作務衣からパリッとトラッドに決めた親泊氏が出で来られました。

満面の笑みを浮かべながら「さあ、行くぞ|」と綺麗なお姉さんの待つ店に直行していました。

楽しい思い出ですが、そんな私も当時の親泊氏と同じくらいの年齢になりました。

これからも当時の親泊氏の様に活き活きと人生を送っていきたいと思っています。