和於屋の長村です。
6月19日にお客様から年代物の黒木棹をお預かりしました。

お客様のご依頼は棹の塗り直しと最高級蛇皮本張りの装着、
カラクイ、歌口、弦の新調です。
古いですがキズや補修などはなく、きれいな棹です。

心の三方に「親泊三味線店」の印があります。
昨年に修理のご依頼を受けた三線の胴も親泊宗康氏が製作した胴でした。
今回のご依頼では黒木棹で三線に仕上げます。
お亡くなりになっていますが、親泊氏とはご縁があるなぁとしみじみ思います。

三線店として駆け出しのころ、何度か親泊氏の店にお邪魔して、
いろんなお話をお聞きしました。
蛇皮の種類や張り具合、音色の違いなど、胴に関することから
棹の製作についても良くお話しくださいました。

当時お聞きしたエピソードで驚いたのが2つあります。
蛇皮の接着剤に「にかわ」を混ぜたものを使っておられました。
その接着剤を取って私に「長村君、にかわを混ぜる前ならこの接着剤は食べられるんだぞ。」
と教えてくださいました。
小麦粉と水と鰹節を混ぜたものを良く練って最後に「にかわ」を練りこんでおられました。

もう一つは蛇には爪があることです。
退化した足の名残がまだあり、ハッキリと爪だと解かるものが残っています。
当時、爪がついている蛇皮を親泊氏からいただき、今でも大切に保管して、
和於屋のご来店されてお客様にその皮でご説明しています。

訪問時間は親泊氏のご指定で午後3時過ぎと決まっていました。
少し仕事関係のお話をしているとすぐに仕事終わりの5時になります。
「着替えてくるから待っていてくれ」と言われ、待っていると
それまでの作業用の作務衣からパリッとトラッドに決めた親泊氏が出で来られました。
満面の笑みを浮かべながら「さあ、行くぞ|」と綺麗なお姉さんの待つ店に直行していました。
楽しい思い出ですが、そんな私も当時の親泊氏と同じくらいの年齢になりました。
これからも当時の親泊氏の様に活き活きと人生を送っていきたいと思っています。