らてん

わずかな電化製品&食器、
不要な服、スニーカー、本。

みんなまとめて、
ハウジング・ワークスという
収益がエイズ患者に役立てられる
リサイクルショップに寄付。

いらないDVDは友人に無理やり押し付ける。
インスタント味噌汁などは日本人の子へ。
シャンプーだの洗剤だのはガンガン捨てる。
そうやって、どんどん身軽になっていく。

持ちきれないコートの類だけ
米国黒猫ヤマトで日本に送る。

極度のものぐさなのに荷造りは好き。
どっかに行っちゃう感じが
タマラナイ。

……というわけで早々に荷造りを終了させ、
トンプキンスパークそばのメキシコ&キューバ料理屋で最後の飲み会、さくさく。

NY最後の夜はラテン・ナイト。
砂まじりのモヒートと、二軒目の水タバコに酔っ払う。いかん、いかん。

過去、寝坊で飛行機を逃したこと2回。
帰国日を間違えて、帰れなくなったこと1回。

ベロベロに酔っ払ったまま空港へ行って、トイレでゲロ、
あまりに具合が悪そうなので
無料でビジネスクラスにアップグレードされた(!)こともある、ノラ編集者。

自粛して、早めに就寝したせいか
翌帰国日は、いつもよりすこし早く目が覚めた。

半年と一ヶ月のNY暮らしも、おしまい。
最後に2時間ほど、どこに行こうかな…。

考えながら、ナントナクまっすぐ歩き、
ムハンマドのコーヒー屋台へ。

「調子どう? いつものスモールコーヒー、
砂糖ナシのミルク入りだよね」
いつもどおり、忙しそうなムハンマド。

わたしは日本人だと言ったら、
あるときからムハンマドは「アリガト」と言う習慣が
できていた。
それが、ここ一か月、またフツーの英語に戻っている。

ふと尋ねてみるノラ編集者。
「最近あなた、“アリガト”と言わなくなったね?」
ムハンマドが笑顔で答える。
「だって、キミはもう、NYの人でしょ?」

ノラ編集者も笑い返し、★50㌣払う。
今日帰る、などとはべつに言わない。

結局、コーヒーを飲みながらブライアンパークを
ぶらぶら歩いて、レジデンスに戻った。

空っぽの部屋。
スーツケース。パソコン。来たときの状態に戻る。
バイバイNY。
…と思って、血の気が引いた。

パパパ、パスポートが、ない!

別送品と一緒に、黒猫ヤマトで送ってしまった…とか!?

落ち着くために、残っていたビール一本を呑む。
汗が流れ落ちる。
もう一本……呑んでる場合じゃないか。

部屋中の引き出しをさがす。ない。
ベッドの下を覗き込む。ない。

結局、きちんとつめたスーツケースの奥底から
発見したときは、
荷物はぐちゃぐちゃに部屋中に散乱、飛行機が出る1時間半前…!

どうして、こーゆーオチになるのか。
最後に浸るくらい、許されてもよいのではないか。

すべての荷物をぐちゃぐちゃにブチ込み、無理やりタクシーを拾う。
焦り狂って目指すはJFK……大渋滞。
★一律45㌦

「あのう、わたし、12時半の飛行機なんですけど~」
意味がないと思っても、いちおう運転手に言ってみる。
「ちょっと無理かもね」
案の定、意味のないことを答える運転手。

はて、この終わり方はなんなんだろ?
hoteldesu

かつてNY出版界で
10年間活躍された、
大先輩のA氏から
メールが届く。

「あとわずかな滞在なら、
あれこれしようとせず、
ただマンハッタンの空気を
吸うのが一番でしょう」


う~ん、カッコイイ…。
そう、普通に過ごすのが
良いのであろう。

普通に過ごしていたら、
空気よりお酒を摂取しすぎた。

二日酔いを治すべく
アメリカ・ニューエイジ界の
みのもんたこと、
ディーパック・チョプラが
経営するインド瞑想SPAへ。

http://www.chopracenterny.com/

DREAMという、ブロードウェイに
できたデザイナーズ・ホテルの地下にある。

(ランダムハウスの近くなので、
出版業界の方は、出張のときぜひ)

このホテルが、「エグイ」インテリア。
ロビーは巨大な水槽、仏像、アンティークの椅子、
そしてカラスの剥製が飾ってある。

ちょっと気持ち悪くてお洒落。
日本のラブホテルも彷彿させるたたずまい。

肝心のチョプラSPAは、お洒落なインド風
インテリアでかなり居心地が良い。
★オイルマッサージ、70分180ドル。

まずはスチームサウナ(個室)にはいり、
一汗かいたあと、サロン風のところで
水を飲みながら、問診表とアンケートに記入。

問診表は、持病、飲んでいる薬、怪我歴、仕事はデスクワークか否か、
どのくらい酒を呑むか、食欲は、など一般的なもの。

アンケートが「あなたのボディタイプを診断します」という
アーユルヴェーダの理論によるもの。
身体のタイプ(汗をかく、足が暑い、冷え性、デブ、脂性)を探るような
質問に加えて、メンタルな質問が結構ある。

「人に悪口を言われたら、不安になる?どうしようか悩む?逆切れ?」
「明晰な夢を見る?起きると忘れる?」
…なんか、占いみたい。

結局、ノラ編集者のタイプはセラピストによると
「身体に熱がこもっているが、精神的に冷えている混合性」だそうだ(なんだそりゃ)。
で、その「心と身体」用に調合した油で、全裸でオイルマッサージ。

こ、これは…すごかったです。
関節のゆがみとか、肩こりとか、
自分で気づかなくても「う~ん」な部分をガンガン攻められる。

力が入っているようでやさしく、なんか官能的。
最初はうつぶせ、その後ひっくり返されて、7箇所のツボ(チャクラ)攻め…。

頭もマッサージしてくれるのだが、
最後に額に、ちいさい渦巻きをくるくると描いてもらってお終い。

たぶん、7つ目のチャクラが眉間にある、
とされているからだと思うのだが…。
なぜかわたしは、3つの渦巻きを描かれた。
チャクラって、一箇所につきひとつだと思うけど???

施術後、ロビーで尋ねると
「あなたには額に、目で見えるリングと見えないリングがあります」
と不気味なことを言われる。

セラピストいわく、
ひとつは誰でもあるチャクラ(目に見えない)
ひとつはこれからひらくチャクラ(目に見えない)、
そしてもうひとつは……「産毛」!

じつは顔が毛深いノラ編集者。
眉間にツメくらいの大きさの産毛の渦巻きがあるのだ。
子供のころは、お坊さんにほめられたことがあるけれど、
成人してからはちょっと気持ち悪いので、剃っていた。

「目に見えるリングって、産毛…」
NYでインド神秘に触れたはずなのに…。
変なオチに拍子抜けして、帰宅。

引越し準備をしつつ、
NYで知り合った人の連絡先や名刺を見ていると、
スナックのお姉ちゃん(沖縄の人)とか、自称女優(コロンビア人)とか、
意味不明の人のがけっこうある。
だいたい酔っ払ってるとき、携帯に勝手に入れられたりしたもの。

NYは国際的であるはずなのだが…??

結局、わたしはどこでもわたし、
すなわち、ただ酔っ払っているだけであろうか?

ジョン・カバット・シンが書き、宇多田ヒカルが歌っているように。
呑み会が続いている。
名目は「サヨナラ・パーティ」。

サヨナラ、という日本語は
意外と知られているようだ。

もうすぐ帰国だから…だが、
つい数ヶ月前も東京で、
同じ名目で呑んではいなかったか?

いずれの場合も、別れを惜しむこともなく、
全員がただ、酔っ払っていたような…。

NYお買い物日記という名ではじめたブログなのに、
このテイタラク。

気を取り直して、買いたかったものを思い出す。

ヴィンテージ・プッチもそうだけれど、
アンティークのシャンデリア。


東京も、かもしれないが、NYでは最近、シャンデリア流行り。
シンプル&モダンなカフェもカジュアルな洋服屋も、
なぜか古めかしいシャンデリアをインテリアに取り入れていて、
それがイケテル。

東京に預けてある家具は、殆ど英国アンティークだから、
お化け屋敷みたいになるかもしれないが…。

そう思って気がついた。
家具があるのは、倉庫。
わたし、東京にはもう、家がない…。

シャンデリアなんて買う身分じゃない。

速攻であきらめて、もうひとつ欲しかったものを思い出す。

ティファニーで誂える、オーダーメイドのレターセット。
ただの封筒じゃなくて、すごくシンプルな書体で
自分の名前をいれたもの。

宝石屋としてのティファニーにはまるで興味がないけど、
NYに来て、自分専用の誂えレターセットを
使っている人が多いのを知り、なんだか欲しくなったのだ。
あまり洒落てない、くそまじめな書体もグッド。

しかし、名前だけというのは使い勝手が良くない。
やはり、住所も印刷してあるほうが便利…。

そう思って、気がついた。
NYを引き払ったら、
印刷すべき住所が、わたしには、ない。

これまた、あきらめるしか、ない。

気を取り直して、ケイト・スペードのセールで購入した
金色のバック(★250ドル)を手に、
ペンギン・マークでおなじみの出版社を訪ねる。

仕事というのは名目で、メインは会社見学。
こっちの出版社の人は、みんな個室を持っててウラヤマシイ…。

ライツ担当者と、おもに彼の「ベイビー(=犬)」について話したあと、
翻訳候補のサンプルを送ってもらうことに。

だが、
「会社辞めたんでしょ?NYの住所がなくなるなら、どこに送ればいい?」
…そうたずねられて、またまた、困る。
実家の住所を書こうとしたが、突然、思い出せなくなる。

まさに、これから本物のノラ生活…???

気を引き締めて生きていこう、という決意を胸にレジデンスに戻ると、
うっかりe-bayで落札してしまった70年代のプッチ
が届いていた。

う~ん、宿無しの分際で、いったい何着買えば、気が済むんだろう?
われながら、訝る。

半袖のプッチのドレスでちょうどいい、5月のマンハッタン。
「どうせ~♪ 死ぬときゃ、ハダカじゃないか~」という、誰かの演歌が、頭の中に鳴り響く。

ぼーっと立ちすくんでいたら、しましまの猫が擦り寄ってきた。
inuda
myan
近頃、よくデリに並んでいる
ライラックを購う(★6ドル)。

柄にもなく…だが、
人生はロマンチックも必要(?)。

ま、自分で花買ってるようじゃ
しようがないけど…。

ボーっと浸っていると
NYの世話焼き台湾人こと
フィーフィー(仮名)が尋ねる。

「NYで行きそびれてるとこがあれば
付き合うわよ!どこか言いなさい」


そう言われて「…コニーアイランド」と答えたのも、
にわかロマンチック病(?)のせい。

海岸沿いに建つという古めかしい遊園地、
「コニーアイランド」は、
しばしば雑誌や映画の撮影に登場。

まだ春浅い海とレトロな観覧車。
地下鉄に1時間乗れば、そこはもうロマンチック…。
しかし相手がフィーフィーというのが、微妙…。

そんなことを、ぼんやり思っていると、
「OK!レッツゴー」
きっぱり宣言するフィーフィー。
「え?今から行くの?」とノラ編集者。

「ワタシは今日、時間がある。アナタもある。ならば何故、行かない?」
怪訝な顔をするフィーフィー。
「……ハ、ハイ、行きます」
曖昧な顔で、つい承知してしまうノラ編集者。

結局、「フィーフィーの彼氏がいかに優柔不断か」、
……がテーマの演説(←定番)を傾聴しつつ、
コニーアイランドに到着。

遠くからはブリキ細工に見える観覧車。
ぼろぼろ&小さなジェットコースター。

その安っぽさが、もの悲しくて、良い。
人すくなな感じも、侘しくて、せつなくて、良い。
…などと、浸っていたのだが。

「観覧車とジェットコースター、どっちに先に乗る?」
張り切って訊ねるフィーフィー。
「いや、あの、ただ眺めたいだけなの。べつに乗りたくないし」
オドオドと答えるノラ編集者。

「コニーアイランドに来たいと言ったのはあなた。
コニーアイランドは遊園地。遊園地と言えば乗り物。なぜ乗らない?」

と、フィーフィー。
…そんな理詰めで言われても。

黙っていると、さらに追求されそうなので、
「遊園地よりウッドデッキを歩きたかったから」と返答。

海岸線と平行に、だらだら続くウッドデッキは、
雰囲気があって、撮影にもデートにもよさそう。
がらんとした砂浜も鄙びていて、哀愁が漂っている。

波打ち際で、犬を散歩させる人。
ユダヤ人の少年が、幼い弟を連れて砂浜をだらだら歩いている。
30女二人という事実に目をつぶれば、ロマンチックかも……。

だが…寒い!!!
気温は10℃ほどだし、強風と薄着がたたって、
ベンチに座っていると、がたがた震えだすほど、寒い。

「あのう、もうウッドデッキはいいです」とノラ編集者。
「はい?」とフィーフィー。
「すごく寒いし、ちょっと歩いたら気が済んだ…もう堪能した」

そういったとたん、再びフィーフィーの「何故」攻撃が。

「わざわざコニーアイランドに来たのに、乗り物も乗らない、
ウッドデッキを散歩しても、たった10分でもういいと言う、
アナタがここに来た目的は、なんなの?何故、ここに来た?」
ひたとわたしを見つめる目は、鋭く厳しい。

「あ、あ、あともすふぃあ~……」
「なに?あともすふぃあ~だあ?意味わかんない。
何故、ワタシの彼氏と同じく、訳がわからないことを言う?」

答えに窮したノラ編集者の目に入った看板。
有名ホットドッグ屋・ネイサンズ。
http://www.nathansfamous.com/nathans/news/htmls/food_drink_2003.php

「あ、あのう、ここのホットドッグが食べたくて…」
明らかに今、思いついた、とっさの言い逃れ。
だが、急に表情を緩ませるフィーフィー。
「そうね、アナタは日本人だったものね」と納得している。
「???」

ネイサンズは「ホットドッグ早食い競争」で有名らしく、
その優勝者が日本人、というのは良く知られた話であるらしい。
(わたしは知らなかったけど…)

「な~んだ、コニーアイランドでホットドッグが食べたかったの~。
やっぱり、国の英雄が自慢なのね~」

う~ん、違う~。
だいたい、早食い王って、国の英雄かあ~?!

なのに、つい、うなずいてしまいながら、
会ったこともないフィーフィーの彼氏に共感。

ちなみにホットドッグは、グレースパパイヤhttp://newyork.citysearch.com/review/7166636
のほうが、美味しいと思います。
コニー3
コニー2
コニー1
コニー3
コニー2
コニー1
osora
ほとんど初夏のNY、
今週はSpa Week。

参加しているSpaでは、
フェイシャル、マッサージ、
マニキュアなどなどが
たった★50㌦。

年増の常でマッサージに目がない
ノラ編集者も、さっそく、
グレート・ジョーンズ・スパへ。
http://www.greatjonesspa.com

雑誌にもよく登場するここは、ちょっとリッチな感じ。
施術前には、自然光が入るゆったりした吹き抜けスペースで、
ジャグジーおよびサウナ(その名も「チャクラ・サウナ」)が楽しめる。

効果もなかなか。
以前、一緒に訪れた「霊感が強い」友人は、
チャクラ・サウナ後にホットストーン・マッサージを受け、

「身体があまりに開放されすぎて無防備になり、
NYの街に流れる邪気にとり憑かれた…」(←???)


と発熱してしまったくらいである。

全く「霊感がない」ノラ編集者。
チャクラ・サウナで大汗をかき、サービスのお茶やらリンゴを食し、
「顔の汚れを取るエステ」を受ける。

主目的がサウナなので、顔はどうでもよかったのだが…。

ヴァネッサと名乗るエスティシャンが、
パックの間、おもむろにふたつの温かな石で、
背中の経絡から首の経絡にかけてマッサージを始めた。

こ、これが効く。
身体が脱力しちゃう。
チャクラが開いてしまいそう…???

ぐにゃぐにゃになって帰宅すると、電話が。
「来月、帰国するなら、その前にぜひ食事でも」
数回会っただけの中国人男性、ミスター陳(仮名)である。

率直に言って、見た目も発言も、かなり不気味な人。
何故、電話を教えてしまったのか、自分でも不思議。

フツーなら5秒で断るが、なにせチャクラが開いているので(???)
つい、承知してしまう。

翌日。
ミスター陳が指定した待ち合わせ場所、メトロポリタン美術館前へ。
アップタウンのこのあたりって、超高級レストランしかない。
ノラ編集者はもちろん、ミスター陳も縁がなさそう。

「じゃあ、スシを食べようか?この辺で、どこか知ってる?」
…知らんがな。人を誘うなら、店くらい考えておきませんか?

「ボク、NYに住んで5年だけど、スシならキミのほうが詳しいでしょ」
…ならば何故、こんなスシ屋が少ないエリアで待ち合わせを?

普段ならこのへんで、
「急用を思い出した」とかミエミエの芝居で帰ってしまうノラ編集者。
だが、なにせチャクラが開いている。
二人してテクテク、40分ほどあてどなく歩きまわる。

やがて、経営者は絶対日本人じゃないと思しき、怪しげなスシ屋へ。
店にはなぜか、「たこやき」というノボリが飾ってある。
ともあれ、ようやく腰を落ち着けることができたのでビールを頼む。

「あれっ?キミ、お酒を呑むの?」と、ミスター陳。
「ハイ」
「ボクね、アルコールが大キライなの。
自分で飲むのもイヤだけど、酒飲みの女がとにかく嫌い」
「……」

気を取り直してメニューを見ていると、ニコニコ言い放つミスター陳。
あのね、ボク、生の魚と生の野菜が嫌いなの。あ、あと海苔がダメ」

…このオトコは、チャクラがひらいた隙に入り込む、邪気の化身か???

結局、卵焼きとキムチしか食べないミスター陳の不気味な話と
「おさわり攻撃」を受けつつ、
死ぬほどまずい河童巻きを食して終了。

ビールをがばがば呑んだので、はい、オサラバ…と思っていると、
「これから僕の部屋で、夜景を見ないか?」とミスター陳。

死ぬほど盛り上がらなかったのに、何故、まだ、誘う…???

フツーなら速攻で断るけど、なにせチャクラがひらいている。

「いやですぅ~!!!!」

ノラ編集者、思い切り日本語で絶叫。
そのまま、走って逃げた。

いったい、幾つだよ、自分…?

一人で呑み直そうと、近くのバーに飛び込むと、
「アナタは21歳を過ぎてますか?IDを見せなさい」と店員。
鞄を探ると、今日に限ってIDがなく、店に入れてもらえない……。

チャクラ開きは身体にいいそうだけど…かなり危険です。