古い2017年の物ですが知らない方の為に共有

 

第 16 回日本脳脊髄液減少症研究会 

 平成 29 年 3 月 4 日(土)・5 日(日)

 

その中の気になった記述「No.1」です下矢印下矢印

 

石川 慎一 姫路赤十字病院 麻酔科 ペインクリニック部長 

 

 脳脊髄液漏出症は起立性頭痛を中心とした症状を訴える疾患である.特発性では 1/2~5 万 人/年,外傷性では骨折・脱臼のない頚椎捻挫患者において 2 人/100 事故の割合と報告され, いずれも発症機転や原因を有し,頭痛の出現時期が明確な場合が多い.機序は硬膜破綻に よる脊髄髄液漏であるが,原因には硬膜脆弱性など内的因子や交通外傷の報告がある. 症状は起立性頭痛が特徴的であるが,一般に両側性の重い頭頸部痛である.加えてめまい, 嘔気,視覚症状,聴覚症状,倦怠感などをきたす.多彩だが多症状ではなく,特発性では平 均約 2 症状,外傷性では約 5 症状が頭痛に随伴する.従って外傷性では他疾患の合併,す なわち頚椎可動制限や頸部痛,脱力,しびれなどは頚椎由来の症状を,微熱,動悸,顔面違 和感,過呼吸などは自律神経失調や心因性ストレスの症状を考慮する必要がある. 頭痛の程度は様々で頭部 MRI 所見が明確で硬膜下血水腫を有する場合は短時間の坐位も 困難となる.一方,頭部所見が乏しい場合は慢性連日性頭痛として日常生活が制限されつつ も保たれることが多い.脳脊髄液減少症では,特発性であっても生命を脅かす状態から単なる 慢性頭痛までと日常生活の程度に広いスペクトルを持っている. 起立性頭痛と頭部造影 MRI にて硬膜下血水腫やびまん性硬膜肥厚を示す症例は診断が容 易である.一方,慢性期では起立性頭痛を有しても頭部造影 MRI では診断が困難である.画 像診断装置の進歩により最近は CT 脊髄造影や MRI での診断もかなり容易になった.ただし, CT 脊髄造影や MRI では治療効果と相関しない症例があり,RI 脳槽造影が有用となる. 治療は約 1~2 週の安静・補液が第一選択である.その後,硬膜外自家血注入の適応を検討 し透視下で施行する.頭部硬膜下血水腫合併例ではその経過観察も重要である.外傷性で は,頸椎由来の症状を,頸椎椎間関節高周波熱凝固,後頭神経ブロックなどの神経ブロック が有効な場合も多く,症状の主原因が漏出以外にあることを念頭に置く必要がある. 今回は外傷性脳脊髄液漏出症の診断に関するピットフォールとマネジメントについて解説する.

 

その中の気になった記述「No.2」です下矢印下矢印

 

高橋 浩一 、美馬 達夫 、平井 利明  

山王病院脳神経外科 ・東京慈恵会医科大学神経内科 

 

 HPV ワクチン関連免疫異常症候群に髄液異常の合併が疑われた

【目的】HPV ワクチン関連免疫異常症候群(HANS)と診断され、ブラッドパッチ、もしくは生食パ ッチを施行して効果を認めた 4 例を報告する。 

 

【結果】対象は東京慈恵会医科大学神経内科にて HANS と診断された 16-19 歳の 4 例であ る。症状は、強固な頭痛に加え、不随意運動、失神発作、生理痛、めまい、嘔気、倦怠感 、 光覚過敏、聴覚過敏、筋力低下など多彩で、全例著しく日常生活に支障を来していた。RI 脳 槽シンチでは、4 例中 3 例で RI 残存率が 20%以下であった。CT ミエロでは、4 例中 2 例に髄 液漏出像を認めた。3 例にブラッドパッチ、1 例に生食パッチを行い、全例、何らかの効果を認 めた。しかし、完治症例、著明改善例は現在の所、存在していない。 

 

【考案】HANS は、HPV ワクチン接種後に疼痛性障害、疲労、生理異常、自律神経障害、ナル コレプシー、光覚過敏、聴覚過敏、高次機能障害などを呈する、既存の疾患概念にない新規 病態として、2014 年に Nishioka らによって提起された。責任病巣として、視床下部の病変を核 とした神経機能障害が提唱されているが、HANS による症状の多彩性、複雑性に関して不明 な点が多く残されている。治療としてリリカ、ノイロトロピンなどの内服療法に加え、血液浄化療 法、ステロイドパルス療法、免疫吸着療法が有効との報告があるが、確立されたものは存在し ない。今回提示する、脳脊髄液減少症に対する治療が部分的に効果を示した 4 例の存在は、 HANS の多彩な症状に、髄液異常が合併している可能性を示唆させる。複雑な疾患であるた め、脳脊髄液単独の異常とは考えていないが、他療法を併用することで、治療成績向上につ ながる可能性がある。 

 

【結論】HANS に髄液異常の合併が疑われた 4 例を報告した。HANS の病態、および不明な 点が多い髄液の機能について新たな知見が得られる可能性があり、さらなる検討が必要と考 えられた。

 

 

石川 慎一 ,上川 竜生  ,南 絵里子 ,福永 智栄 , 中川 紀充 ,守山 英二 

 姫路赤十字病院 麻酔科 ・ 緩和ケア内科 ・ 明舞中央病院 ・脳神経外科 ・福山医療センター 脳神経外科 

カテーテルを用いた硬膜外自家血注入が有用であった 3 症例

【緒言】硬膜外自家血注入(EBP)では,漏出部位への確実な投与が重要である.X 線透視下 に EBP を反復施行しても,漏出が継続する症例がある.今回,Racz カテーテル(Epimed スプ リングガイドカテーテルⓇ)を用いて透視下 EBP を行い,良好な結果を得た 3 症例を経験した ので考察を加えて報告する. 

【症例 1】 40 代,女性.多数回の EBP をすでに受けており,一時的な改善のみ得ていた.最 近の RI 脳槽造影や CT 脊髄造影でも C1/2 と T8/9 付近での漏出を示しており,再 EBP を行 った.T1/2間より硬膜外穿刺を行い,上位頸椎へ通常の硬膜外カテーテルの留置を試みたが 全く上行しなかった.そこで C6/7 間レベルで硬膜外穿刺し 18G Racz カテーテルを背側に上 行させた.先端を C2 上端レベルに留置し計 5mL を注入した.また胸椎では通常の EBP を行 った.術後 CT は頸椎上部への良好な広がりを示した.治療後約 1 年も頭痛は改善している.

【症例 2】10 代,女性.約 2 年前に誘因なく起床時から頭痛が出現した.以後慢性連日性頭痛 でほぼ毎日の痛みを訴えていた.他院で脳脊髄液を指摘され,計 2 回の EBP 治療を行った が軽快しないため当院紹介となった.漏出部位が C5-T2 硬膜腹側と判断,Racz カテーテルを 用いた EBP を行った.先端を C2/3 および C5/6 に留置させて各 4mL の計 8mL を投与した. その後 T5/6 レベルでは通常の硬膜外針を用いて 10mL の血液を注入した.治療後 CT では C2-T9 まで全周性の良好な広がりを示した.治療後 1 か月で頭痛はほぼ消失し復学した.

 【症例 3】50 代,男性.計 6 回の EBP 治療歴あり.その後当院紹介となった.漏出部位は右 C3-8 レベル.Racz カテーテルは T2/3 間から左傍正中法で右側を上行させて C4/5,C6/7, C8/T1 レベルで各 4mL 投与した.数日後に頭痛は軽減した.EBP 約 1 か月後に施行した脊 髄 MRI では漏出像は消失しており,症状も改善していた.約 1 か月半後に復職した. 

【考察】EBP は脳脊髄液漏出症の低侵襲かつ効果的な治療であるが,漏出部位への確実な 投与が重要である.以前は大量投与を行っていたが,画像診断の進歩により明確な漏出部位 に対して少量投与する target EBP が報告されている.Racz カテーテルは,脊柱間内の神経根 や硬膜外腔における癒着を軽減させる治療デバイスである.これを利用して漏出部位近傍で の血液投与が可能となった. 

【結果】Racz カテーテルを用いた EBP は,上位頸椎や腹側の漏出に対して有用性を示した.

 

 

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