昭和には野球の記録の本が

児童書にもなっていた。

そんな、記録の本で、すごい記録として

イラスト入りで紹介されたものを紹介します。

 

1971年のロッテオリオンズは、前年10年ぶりのリーグ優勝をし、

この年も江藤慎一も首位打者を獲得する好調さで、

4月は7勝7敗と5割の成績だったが、5月1日、2日と不調東映相手に

2連勝しスタートダッシュの遅れを取り返していた。

そして、5月3日祝日のゲーム、

 

一方、東映フライヤーズは4月を2勝12敗と悲惨な戦い、

前日まで9連敗と元気がない。もちろん最下位独走中だ。

 

そんな東映にとっても容赦ない、

8回が終わって6対1でロッテがだいぶ有利、

10連敗は目前と、大多数のファンは思っていただろう。

東映の田宮謙次郎監督は40代前半なのに、チームの不調に

白髪も増えてきた様子だった。

 

しかし、野球は何が起こるかわからない。

 

9回表、東映は大杉勝男のソロ本塁打を打ち4点差、

しかし、すでにツーアウト!10連敗は目前。

だが、ロッテ側に小さな綻びが生まれる。

ツーアウトランナー無しで安打と四球で一、二塁、

代打、末永のショートゴロで万事休す!

と誰もが思った瞬間、ショート広瀬から

山崎二塁手に送球、しかし、ここで山崎が捕球ミス。、

しかし、アウトの判定。

すぐに東映ベンチの抗議があり、ロッテベンチは引き下がった

東映が連敗中とロッテが早く試合を終わらせたかったからかわからないが

試合は続き、なんと、二者連続ヒットとエラーなどで5点を入れ、

6対6の同点になった。
9回裏ロッテはあっさり無得点。

何となく、ロッテベンチは嫌な気分になっただろう。

東映ベンチは「今日は違うかも」と思ったかもしれない。

 

そして、10回表、東映の攻撃。

9回の勢いを見せ、ツーアウト満塁まで攻める!攻める!

ここで、9番投手皆川に代わって、唯一ベンチに残っていた

作道烝(さくどう・すすむ)を代打に起用。

いつもより、気合を入れた作道は甘く入ったインコースを

見事にスタンドに入れた満塁本塁打を放った。

10対6と逆転した。

 

こうなると、東映強力打線はイケイケで調子に乗った。

つづく、1番大下剛史がレフトへ2号ソロ本塁打、

2番大橋穰がやはりレフトへ5号ソロ!そして、3番張本勲が狙って6号ソロ、

最後は4番大杉勝男が9回に続き2本目の6号ソロ本塁打で

8点を入れる猛攻!!

決して広くはない東京スタジアムとはいえ、乗った打線の凄さを観客は見た。

 

10回裏ロッテは2点を獲ったものの、焼け石に水状態。

江藤慎一は3本の本塁打を打ったが、目立たなくなってしまった。

10回表の5者連続本塁打は今も日本記録として残っている。

この試合は両チームで12本塁打となった。

 

しかし、9回表の失策が無ければ

こんな壮大な逆転劇とドラマは見られなかったでしょう。

野球の面白さと怖さを見えてくれた試合でした。

 

 

 

 

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データ協力 篠浦孝氏